2011 Fiscal Year Annual Research Report
放電プラズマ焼結過程の解析法とチタン系生体適合傾斜機能材料の創生技術の確立
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23360053
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
東郷 敬一郎 静岡大学, 工学部, 教授 (10155492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 佳伸 静岡大学, 工学部, 准教授 (80272673)
藤井 朋之 静岡大学, 工学部, 助教 (30377840)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 構造・機能材料 / シミュレーション工学 / 複合材料・物性 / 生体適合傾斜機能材料 |
Research Abstract |
平成23年度は,以下の3項目について研究を行った. (1)放電プラズマ焼結機の導入と焼結条件の検討 本研究の目的、計画の沿った放電プラズマ焼結機を選定・導入し、この放電プラズマ焼結機を用いて100Ti、100%PSZおよび5vol%PSZ-95vol%Ti複合材料について、パルス電流、焼結時間、加圧力を種々に変えた焼結体を作成した。これらの焼結体について、組織観察を行い、最適な焼結条件を求めた。10数分程度の極めて短い焼結時間で良好な焼結体を作製できた。 (2)焼結過程のシミュレーションモデル 粉末粒子の寸法、組成、焼結条件(パルス電流、加圧力、時間)を入力データとし、焼結状態(密度)および酸素の拡散距離(Tiの酸化層)を予測できる焼結過程のマルチフィジックス・シミュレーションの第1段階として、PSZ粒子とTi粒子からなる紛体における焼結過程を加圧力による塑性変形とPSZ粒子からTi粒子への酸素の拡散過程および加熱温度を考慮して有限要素法により解析を行った。その結果、加圧力と加熱温度の上昇により塑性変形による焼結が進むこと、酸素のTiへの拡散は極めて急速であり、酸化Tiができやすいことが明らかとなった。このようなシミュレーションにより、酸化Tiの生成を抑制した焼結条件、PSZ体積割合、すなわち延性を備えたPSZ-Ti複合材料の創生を予測できる見通しができた。 (3)粒子分散複合材料の力学特性評価モデルと有限要素法の開発 粒子寸法分布とはく離損傷を考慮した粒子分散複合材料のマイクロメカニクスに基づく力学モデルを有限要素法に導入し、複合材料中のき裂の解析など複合材料構造体の力学解析を行える有限要素法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放電プラズマ焼結機の選定・導入が10月以降になり遅れたが、金属(Ti)、セラミックス(PSZ)、PSZ-Ti複合材料の最適な焼結条件を求めることができ、機械的特性評価まではいかなかったものの次年度以降の研究につながる成果が得られた。また、焼結過程のマルチフィジックス・シミュレーションにおいては、塑性変形と酸素拡散を考慮した解析を行い、その有効性を確認でき、次年度以降につながる成果が得られた。さらに、焼結複合材料の力学特性解析のための力学モデルと力学モデルを導入した有限要素法を開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
最適な焼結条件により作製されたTi-PSZの体積割合の異なる数種類のTi系複合材料について、組織構造、酸素拡散層、硬度分布および機械的特性を明らかにする。また、焼結過程のマルチフィジックス・シミュレーションの高精度化を進めるとともに、組織観察に基づいて、PSZ粒子、酸化層、TiマトリックスからなるPSZ-Ti複合材料の弾塑性変形特性を予測するモデルを開発する。これらの成果を通して、最終年度の放電プラズマ焼結の焼結過程の解明と傾斜機能材料設計・創生につなげたい。
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Research Products
(2 results)