2012 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度放射光の回折コントラストイメージを利用したコンカレント材料損傷評価
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23360056
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中井 善一 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90155656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩澤 大輝 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60379336)
田中 拓 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80236629)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロ材料力学 / シンクロトロン放射光 / 疲労 / 金属組織 |
Research Abstract |
SPring-8の汎用ビームラインによって得られるステンレス鋼および工業用純鉄のX線回折コントラスト像を解析することにより,以下の結果が得られた. 1.透過像中に現れる減光スポット像と回折スポット像を併用することにより,減光スポット像だけの場合よりも,より微細な結晶粒の位置および形状を同定することができるようになった.ただし,表面に接する結晶粒に関しては,屈折コントラストがノイズとして作用するため,位置の測定精度が悪かった. 2.単調荷重増加試験および繰返し負荷試験を実施した結果,塑性ひずみの増加に伴って回折コントラスト像における回折角が広がっていく結晶のあることが観察された.この拡がりは内部の結晶では小さく,表面に接する結晶において大きいことが分かった.これより,回折コントラスト像によって,各結晶粒における転位密度を推定することが可能であることが示唆された.また,回折角より,すべりの生じた結晶面を特定することが可能となった. 3.き裂材について同様の観察を行ったところ,き裂先端近傍の大ひずみ域では回折スポットの拡がりが大きすぎるために暗くなり,CT再構成を行えなかった.ただし,大ひずみ域の大きさを検出することで,破壊力学パラメータを推定できる可能性のあることが明らかになった. 4.き裂材のCT像より有限要素解析のメッシュを自動生成する手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 暗スポットの解析による結晶粒3次元形状自動解析ツールの開発に関しては,暗スポットだけでなく,回折スポットも利用することにより,より微小な結晶粒の同定もできるようになり,予定以上の成果があった反面,自動化に関しては,まだ改良の余地が残っている. 2. 回折スポットによる結晶方位・格子間隔同定ツールの開発に関しては,回折スポット-試料-暗スポット間の角度より,結晶方位を評価することが可能となったが,格子間隔の測定に関しては,精度が十分ではない. 3. Spring-8における実験に関しては,フレームに放射光吸収率の小さいアクリル樹脂性の中空円筒を用い,かつ,試料台に載せることのできる小型・軽量の引張り試験機を開発し,引張り荷重を負荷した状態で放射光を照射してCTイメージングを行う装置を予定どおりに完成させることができた.3.1 引張り試験に関しては,結晶ごとの塑性ひずみを求める前提となるミスオリエンテーションを測定することが可能となった.3.2 疲労試験に関しては,動電型加振機を利用して可搬で,かつ100Hz程度の負荷が可能な疲労試験機を開発した. 4. 有限要素法による3次元弾性解析ツールの開発に関しては,CT画像よりメッシュを自動生成する手法を開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 回折コントラストイメージング解析法のさらなる自動化,高精度化を行い,より短時間で結晶粒形状を3D可視化することを目指す. 2. 疲労試験における結晶粒形状および回折角の拡がりの繰返し数に伴う変化を明らかにする.また, SEMおよびAFMによって観察した試験片表面におけるすべり帯およびき裂発生挙動と,回折コントラスト法による解析結果と比較・検討する.さらに,屈折コントラスト法によって検出したき裂形態とSEM観察による形態と比較・検討する.また,試験片表面における結晶粒形状および結晶方位をEBSDによって観察し,回折コントラスト法による結果と比較・検討する. 3. 介在物を模擬した人工欠陥を有する試験片におけるき裂発生メカニズムを屈折コントラスト法を用いて詳細に観察する.この場合,試料回転による円状アーティファクトの影響を消去する手法を開発する. 4. き裂の応力拡大係数を有限要素法によって解析し,回折コントラスト法による観察結果と総合して,き裂進展モードの遷移条件を決定する材料組織因子および力学因子について検討する. 5. Braggの回折条件を利用して,回折角より各結晶粒の応力を評価する手法を開発し,引張試験によってその検証を行う.
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Research Products
(23 results)