2012 Fiscal Year Annual Research Report
“軟脆”特徴を持つ高機能材料の無欠陥表面創成加工技術と評価技術に関する研究
Project/Area Number |
23360062
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
周 立波 茨城大学, 工学部, 教授 (90235705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 淳 茨城大学, 工学部, 教授 (40292479)
山本 武幸 茨城大学, 工学部, 技術職員 (40396594)
小貫 哲平 茨城大学, 工学部, 准教授 (70400447)
尾嶌 裕隆 茨城大学, 工学部, 講師 (90375361)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | “軟脆”材料 / “硬脆”材料 / 単結晶 / 機械特性 / 物理特性 / 研削加工 |
Research Abstract |
半導体,光学素子に用いられる結晶材料は,イオン結合,配位結合,水素結合など複数の異なる結合システムが混在しているため,異方性が極めて強く,単一な共有結合あるいはイオンからなる硬脆材料と異なり,このような結晶材料は“軟+脆”材料と特徴づけられる.しかし,その機械特性、また加工に与える結晶構造の影響がまだ十分わかっていないのが現状である. 昨年度は,軟脆”から“硬脆”まで対応できる3種類の単結晶:LiTaO3(LT),シリコン,サファイアに対し,荷重が10mN~2000mNのマイクロインデンテーション実験を行い,“軟脆”材料の機械特性を精査,比較し,定量的な評価手法を提案した. 本年度には,“軟脆” 材料の除去メカニズムに及ぼす機械的(応力場)の影響を解明することを目的に,LT,SiC,サファイアの3種類のウエハの研削実験を行い,研削抵抗,臨界圧力,臨界切込量,仕上げ面粗さなどの基礎データを収集し,昨年度で得られた機械特性と関連付けて考察した. また,LT加工における化学的(反応場)な影響を解明するために,CeO2を主成分とした数種類の砥石を開発し,CMG(Chemo-Mechanical Grinding),研削実験を行ったが,Siと異なり,LT研削中における固相反応がほとんど起こらなく,LTが化学的に極めて安定であることが明らかになった.一方,ダイヤモンド微粉(CD)を添加した砥石による研削加工では,僅かながら化学反応によるLT材料の除去が認められた. さらに,研削温度を5℃まで下げて加工行うと,研削抵抗が大きな変化がないにもかかわらず,加工中におけるき裂の発生が効果的に抑制された.この発見は,LTのような強誘電体結晶のき裂発生に対し,材料の機械特性よりもむしろ圧電効果,あるいは焦電効果が主因であることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)おおむね実施計画に沿って,本研究が進んでいること. 2)得られた成果を学術誌や国際会議で発表できたこと. 3)“軟脆”材料の加工の支配要因として,これまで考えられてきた材料の機械特性ではなく,その物理特性(圧電効果,焦電効果など)である可能性が高いことを示唆し,次年度の研究課題がより明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
“軟脆”材料の加工・評価技術の確立を主目的に,次の3つの課題を取り組む. 1)LT材料が化学的に極めて安定であること,また加工工程を支配主因が材料の機械特性ではなく,その物理特性である可能性が高いことから,今後の加工技術の開発は,化学場から物理場に移行して優先的に行う. 2)開発した分光よるウエハ面内厚さ測定技術を加工机上に実装して,On-machine化を図る. 3)薄片化したウエハの反りや変形から,加工変質層の敦也や残留応力を推定・評価できる3Dモデルの構築に取り組む.
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