2011 Fiscal Year Annual Research Report
微細流路内での拡散現象を利用した微粒子の連続立体混合システムの構築
Project/Area Number |
23360063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 健介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80345173)
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Keywords | 混合 / 粒子 / 微細流路 / 分割 / 拡散 |
Research Abstract |
本研究の目的は、単にかき回しても混ざらない微粒子同士を、均一あるいは任意の成分分布状態に「混合」させるための技術を開発することである。混合したい複数の微粒子を連続供給しながら、それぞれを多数に分割し、分割したもの同士を拡散混合することで局所的な混合比を保証し、その状態で全体を集約する。分割数を多くすれば、より精密な混合が可能になり、また粒子の拡散速度が速くなる。これを実現するために、3次元的な微細流路をもつ連続立体混合システムを開発する。 平成23年度は、連続立体混合システムを実現すべく、供給、流量計測、分割の各プロセスについて問題点の抽出と改善設計を行った。 供給プロセスについては、本研究ではスクリューを用いた押し出しを行うが、ここで問題となるのは、スクリュー回転周期と同期して微粒子の供給量に脈動が生じることであった。この問題に対し、出口の形状を最適化して脈動が生じにくい構造にするとともに、スクリュー径を微細化して回転数を上げることで、脈動の低減を図った。 流量計測プロセスについて、微粒子の流量をインラインで測定するために、供給器から落ちる微粒子を斜板に当て、その衝撃力の水平成分を計測することで単位時間当たりの流量を算出した。その値を供給器のスクリュー回転数にフィードバックすることで、一定量だけでなく、時間とともに変化する量を供給することも実現した。 分割プロセスについては、粒子同士が強固に凝集していることが原因で粒子の流動性が著しく低下し、安定的に分割することが困難な場合があることが分かった。分割の精度を安定化するために、流路幅、深さ、断面形状、流路傾斜角などの条件を検討し、最適化を測った。現在の試作流路では、分岐部の調整なしの場合で10%程度の誤差が見られる。これを改善するために、系全体に振動を加える解決法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微粒子の分割装置の試作開発過程において、当初予想し得なかった微粒子の強固な凝集による流動性悪化という理由により、試作した拡散装置の性能が十分に発揮されないことが判明した。したがって、微粒子の凝集状態・微細流路の形状と微粒子の流動性の関係を再検討した上で、分割装置を再試作した。これに4ヶ月を要したため、当初の計画よりはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を効率的に推進するために、混合に必要なプロセスにおけるパラメータの最適化を並行して行う。本研究で提案する手法は、供給、計測、分割、拡散、集約の5つのプロセスがそれぞれ独立で、直列に繋がっているため、上記の並列化が可能である。現在までに分割プロセスにおける粒子凝集の解消方法を検討しているが、拡散・集約プロセスにおいても凝集を避けながら効率的に拡散・集約するためのパラメータの最適化が必要と考えられる。これを同時に進め、最終的に一貫プロセスとして統合する。
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Research Products
(2 results)