2012 Fiscal Year Annual Research Report
極低濃度電解液による環境対応微細電解加工に関する研究
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23360064
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
夏 恒 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40345335)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電解加工 / 電解液 / 濃度 / 超硬合金 / 微細軸 / 加工状態 / 極間距離 / 検出精度 |
Research Abstract |
超硬合金に代表される難削材の加工には、電解加工は得意であるが、環境対策や加工速度がネックとなっている。本研究は、極低濃度電解液を用いた微細電解加工法を提案し、難削材の微細形状を高精度、高速度で創成するとともに、環境に与えるものづくりの悪影響を最低限に抑える。目標を達成するため、極低濃度電解液による加工に適した電源システムと極間距離・加工状態の制御システムを構築し、最適な加工条件を検討する。今年度は、主に以下の研究項目を実施した。 1)極間距離と加工状態の検出、工具電極のサーボ送りシステムの構築 高精度パルス電解加工を実現するため、加工中の極間距離を検出し一定に保つ必要がある。また、穴の電解加工において、極間に滞留する加工生成物の除去のための工具電極ジャンプ動作を行なっているにも関わらず、加工状態の悪化により所望の加工形状が得られないことがある。そこで、加工パルス電圧印加時の電流波形のピーク値と電流の時間積分値である電気量の関係から、加工中の加工状態の検出を試みた。その結果、パルス電圧印加時に極間に流れる電流のピーク値とオン時間中に流れる電気量の関係から、加工状態を検出できること、また極間電流のピーク値から極間距離を検出する際、検出精度の向上が課題であることを明らかにした。 2)等価回路による加工速度影響因子の調査 3)電解液の種類や濃度、また電気条件が超硬合金微細軸の形成に与える影響の調査 劇物で環境に悪影響を与えるNaOHを使用せず、加工速度が速く、表面状態がよい超硬合金微細軸を中性電解液NaNO3で電解加工を行うため、両極性パルスを用い、最適なパルス条件を調べた。その結果、NaNO3水溶液を使用し、両極性パルス電源を用いた加工では、加工速度が速く、生成物が少ない100msを最適な電気条件であり、直流電源での加工より生成物の付着が減少し、表面粗さが向上することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は、下記の3項目を実施する予定であった。 1)工具電極のサーボ送りシステムの構築、2)等価回路による加工速度影響因子の調査、3)両極性電圧パルスの特性調査 1)に関しては極間距離及び加工状態の検出の原理を検証した。また、加工状態が悪化したと判断した場合、高電圧パルスの印加により正常な加工状態に回復できることを確認したが、制御回路と加工電源の統合はまだ完了していない。 2)に関しては、パラメータの同定をする際は、個々の実験結果と解析結果を比較し、一致度を確認しながら、パラメータを同定していたが、効率が低いことと、パラメータ同定精度に問題があった。今年度後半から、Mathematicaを使用し、同定速度および精度の向上を試みたが、信頼性の検証が残っている。 3)に関しては、予定通り実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の項目の実施により、当初の目標を達成するよう研究していく。 1)電源回路と制御回路に詳しい電気機器メーカの協力を得ながら、制御回路と加工電源の統合を完了させる。 2)Mathematicaを利用し、高精度、高速度の電解加工等価回路のパラメータの同定方法を確立したうえ、等価回路の解析により加工速度および加工精度の向上策を検討する。 3)形状創成加工の工具軌跡と速度を求めるアルゴリズムにより、工具電極の軌跡と速度を求めて、3次元微細形状を創成する。また、加工後形状を形状測定器により評価する。
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Research Products
(11 results)