2011 Fiscal Year Annual Research Report
DLC薄膜の3次元ナノコーティングおよびプラズマ挙動解析
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23360072
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
崔 ジュン豪 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30392632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60152716)
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Keywords | DLC膜 / プラズマイオン注入法 / 3次元コーティング / ナノコーティング / プラズマ / ナノインプリント |
Research Abstract |
本年度は、バイポーラ型プラズマ利用イオン注入・成膜装置を用いてダイヤモンドライクカーボン薄膜の成膜因子(正・負高電圧パルスの大きさ、パルス幅、パルスの周波数、正と負パルス間のディレ)を制御しながら種々のカーボン膜を作成・評価することで最適コーティング因子を決定した。また、東京大学の共通設備(VDEC)の電子ビーム描画装置を用いてトレンチ幅150nmから5000nmのシリコンパターンを作成し、得られた最適3次元ナノコーティング因子を用いてコーティングを行い、ナノスケール3次元コーティングに成功した。トレンチパターンの幅(ラインアンドスペース)が150nm以下の場合、東京大学の設備では作成が困難であるため外注を行い作成した。本手法では、被コーティング物に直接正の高電圧パルス(~+10kV)を印加し、低ガス圧力下で高密度グロー放電プラズマを被コーティング物近傍に生成し、その直後に負の高電圧パルス(~-20kV)を印加することにより被コーティング物の形状に沿って全方向からコーティングを行う手法である。正と負の高電圧を用いるバイポーラ手法を用いることで、従来プラズマの形成が難しいナノ空間に高エネルギーの電子を引き込むことが可能になり、ナノ空間において高密度プラズマの形成、それによる3次元ナノコーティングが可能であると考える。ナノスケールのパターンすなわちナノ空間に作成したダイヤモンドライクカーボン膜の場合、2次元平面上に比べてプラズマ密度、基板温度などが異なることが予測される。その違いにより平面上に作成したダイヤモンドライクカーポン膜の特性と異なる特性を示す可能性があるためトレンチパターンの上面、底面、側面各々のダイヤモンドライクカーボン成膜条件に対し、膜厚、表面粗さの評価を走査型電子顕微鏡および原子間力顕微鏡を用いて行った。その結果、ダイヤモンドライクカーボン薄膜の作成により上面粗さの低下が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である(1)Bipolar PBIIの成膜因子によるDLC膜の作成、(2)ナノスケールの3次元パターンの製作およびパターン上へのDLC成膜、(3)3次元DDLCナノコーティングの特性評価をすべて達成した上、平成24年度の研究計画である、プラズマ計測、プラズマ計算の研究を着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究によりバイポーラプラズマ利用イオン注入成膜法を用いてナノスケールでの3次元DLCコーティングに成功したが、そのコーティングメカニズムは明らかにしていない。平成24年度は、マイクロ、ナノ空間における電子・イオンの挙動を明らかにするためプラズマ計算を行う。また、プラズマ計算に必要なプラズマ密度をラングミュアープローブを用いて測定する予定である.
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Research Products
(12 results)