2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールレーザーテクスチャリングによる摺動特性向上に関する研究
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23360077
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
佐々木 信也 東京理科大学, 工学部, 教授 (40357124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 涼 東京理科大学, 工学部, 助教 (90548158)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / 構造・機能材料 / 省エネルギー / 設計工学 |
Research Abstract |
本研究では,摩擦損失の低減を図るための革新的な表面テクスチャリング技術を確立することを目的として,マルチスケールテクスチャリングの概念に基づいて表面構造を設計し,これを摺動表面に創製するため,ナノコーティング技術とレーザー微細加工技術とを融合した複合テクスチャリング技術を開発する.そして,テクスチャリング表面のトライボロジー特性改善効果を実験的に検証することにより,数値流体解析(CFD)技術の高度化を図る.具体的には次のような研究を遂行した. 1.CFD解析コードの開発:テクスチャ表面における実寸法による3次元数値流体解析(CFD)コードを開発し,既知のシミュレーション結果との比較し,キャビテーションによる気泡発生およびその流体内での挙動を考慮した解析を行った.これにより,これまでに指摘されているようなキャビテーションによる動圧発生メカニズムは,そのまま安易に受け入れることができないこどが分かった.すなわち,摩擦面観察による実験データと解析結果より,キャビテーションが起こる条件は限定的であり,動圧発生の原因をすべてキャビテーションによって説明できなことを明らかにした. 2.表面テクスチャ創製プロセスの開発:多元素電子ビーム蒸着装置を用いて,2種類の金属元素による数ナノオーダーの交互積層薄膜を基板上に傾斜配向させるコーティング技術を開発した.このナノ積層薄膜が摺動表面において,摩耗速度の違いによりナノ構造が形成され,これが維持されることを確認した. 3.テクスチャリング表面の設計技術:数ナノオーダーの溝構造と,数十ミクロンオーダーの3次元構造との組み合わせにより,ある摺動条件(例えば,摩擦速度0.1m/sec,面圧100MPa,潤滑油粘度10cSt)で流体潤滑状態を発現するテクスチャ表面を設計し,これを摺動表面に創製するため基礎的実験を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた実験装置および解析ソフトの導入は,震災の影響で契約が遅れるなどの問題もあったが,その後の立ち上げがスムースに進み,目標としていた成果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
テクスチャによる潤滑特性改善のメカニズムは,これまでキャビテーションの発生が前提とされていたが,本研究においてキャビテーションの発生が限定的であることを明らかにした.その結果,新しい潤滑メカニズムの解明と,それに基づいた対策を考える必要がある.キャビテーションの発生に寄らないメカニズムの解明には,より高精度な摩擦面観察と計測技術が要求されることから,これに必要な計測システムの設計と,システム導入のための研究資源の確保に務める.
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Research Products
(7 results)