2011 Fiscal Year Annual Research Report
超流動乱流における量子渦の可視化法の開発と圧力変動計測による乱流普遍則の解明
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23360082
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 義之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252255)
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Keywords | 流体工学 / 乱流 |
Research Abstract |
ダクト端面に設置されたヒーターから熱を加えることにより、熱カウンター流を発生させ、ダクト内の温度変動を計測した。計測には、ロックインアンプとヒーストンブリッジ回路を用いた微小温度計計測法(0.01℃)においても有用であることを確認した。温度変動波形から、ダクト内の流動には準周期的な振動(沸騰)モードがあることがわかり、モードの決定に与える圧力、熱流束の影響を調べた。 ダクト内の準周期的な振動発生と同時に可聴音を伴うことが観測より明らかになったため、ダクト内対向流の可視化を実施した。YAGレーザーおよび高速度カメラを同期し、サーミスタによる温度同時計測の結果から、超流動形態と音の発生、常流動成分の挙動を詳細に観察できた。この観察に基づき、ダクト内の周期的流動(温度変動)を再現する物理モデルを構築した。 超流動の可視化に関しては、CCDカメラの故障のため準備が遅れてきていたが、光学系の設置、デュアー内の光学窓からの可視化画像の確認、PIVシステムによる流速ベクトルの算出をこなった。粒子密度を十分に増やすことで、計測精度の改善が可能であることが分かった。超流動中の変動圧力を計測するために、これまで開発してきた圧力プローブを低温センサーを用いた計測用に改良をおこなった。静圧管中の定在波や共振波の影響は認められなかったが、バックグランドのノイズが大きいため、その除去方法を考案することとした。SN比が悪く良好な信号が得られていない。そこで、半導体型センサーの代わりに水晶圧電式センサーを用いることを計画している。前者は背面圧力を計測する際に微小なチューブを用いており、この部分で圧力信号に不要なノイズが含まれると予想している。水晶圧電センサーには、この様な構造上の欠陥はない。また、電気ノイズレベルを下げるように、測定体系のアースや配線、汎用アンプのバッテリー駆動などをすすめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計測機器の故障などのため、予定よりも遅れています。当初に計画した実験は一通り行っていますが、精度度の向上などにさらなる改善を必要とします。本年度は研究をまとめる段階になりますので、これまでの成果を確認するとともに、計画した内容を遂行できるように着実にしたいと思います。
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Strategy for Future Research Activity |
超流動中の粒子の可視化に関しては、粒子密度の調整から精度の向上が期待される。圧力変動の計測には、SN比を改善するための水晶圧電式センサーを用いる予定である。これらの改善を通して、超流動中の圧力計測に基づき、Kolmogorovの乱流普遍則の検証を行う予定である。 ダクト内の可視化に関しては、デュアーのリークチェックの後に、これまで試行してきた水素粒子の生成を実施し、最適粒子の形状、密度の調整をおこなう。YAGレーザーを用いた可視化は予備実験を終えており、最適粒子径の密度が調整できれば、流速計測を実施する。 ダクトを透明化することから、内部の熱対向流の状況を可視化できるものと考えている。可視化粒子の挙動から、超流動成分、常流動成分を区別すること、量子タングルの存在を考察したい。
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