2012 Fiscal Year Annual Research Report
細管内気体の温度勾配による不安定化と圧力波の発生―熱音響現象の解明と応用に向けて
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23360084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 信正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20116049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 大 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40448048)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱音響 / 不安定性 / 臨界条件 / 拡散 / 温度勾配 / 境界層理論 / 細管理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,流体力学の立場からはこれまで殆ど研究されていない,温度勾配のある壁面に囲まれた気体に対して,粘性や熱伝導性による拡散が引き起こす不安定現象の理論を構築し,実験でその正当性を検証することである.この現象は結果的に気体内に圧力変動(音)を発生させるので,熱音響現象とも呼ばれる.本申請者はこれまで,拡散層が薄い場合には境界層理論が非線形現象の記述も含め有用であることを明らかにしてきたが,昨年,拡散層が厚い場合の細管理論確立への突破口を開いた.研究をさらに推し進めることによって熱音響現象の理解を深め,定量化の方法が確立できると考えている.本研究では理論体系を完成させ,様々な条件下での不安定化の臨界条件を明らかにするとともに,非線形現象の解明と熱音響式熱機関への応用を目指す. 本研究の課題である(1)境界層理論の応用, (2)細管理論の展開と応用, (3)理論結果の実験による検証の3つのうち,主に(1)と(2)について成果が得られた.(1)については,境界層理論を様々な状況に適用し,幾つかの古くから知られている代表的な熱音響現象の不安定化の臨界条件の導出が可能であることを示した.また最近の熱音響デバイスで用いられているスタック内でも拡散層の厚さが流路半径程度に厚くなっても依然有用であることも分かった.これより境界層理論は、簡単でかつ極めて有用な近似理論であることが示された.(2)については,細管理論を適用してループ管ない不安定化の臨界条件を求め,細管理論の有用性を示した.この研究より,境界層理論と細管理論で殆どの場合を記述できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論課題が当初計画より大きく進展し予定以上に時間を多く費やしたため,実験課題を行う時間的余裕が当初計画より少なくなり遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
実験課題の着手が計画より遅れているので,早急に遅れを取り戻す予定である.
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