2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子間エネルギー輸送機構に基づいた固液界面熱抵抗の制御
Project/Area Number |
23360099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Thermal engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝原 正彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40294045)
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Keywords | 固液界面 / 界面熱抵抗 / エネルギー伝達機構 / 非平衡分子動力学 / ナノ構造 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は,分子間エネルギー伝達機構を微細構造で直接制御することにより,固液界面熱抵抗をコントロールするための理論と方法論を確立することを目的として,以下の3項目について研究を実施した. (1)固液界面微細構造と固体界面熱抵抗の関係の解明のための非平衡分子動力学シミュレーションの実施 界面に対して,(1)完全平面,(2)ナノチャネルを有する面,(3)炭素ナノ粒子付着面,のモデルをそれぞれ作成し,境界温度が異なる固体平面に挟まれた液体相の計算系を用いて,(1)~(3)の伝熱面における固液界面熱抵抗を定量的に計算した.また,巨視的な濡れ性に関連する固体-液体分子間相互作用強さをファンデルワールス力でモデル化し,その強さを計算パラメータとして扱った.その結果,完全平面に比べて,ナノチャネルを有する面や炭素ナノ粒子が付着する面の方が,固液界面熱抵抗が低下する条件が存在することを明らかにした. (2)固体-液体界面分子間エネルギー伝達機構解析プログラムの作成 固液界面に存在する微細構造が分子スケールのエネルギー伝達機構に与える影響を明らかにするために,分子間エネルギー伝達機構の解析プログラムを作成した.その結果,並進の自由度のみを有する単原子分子からなる液体相に対して,系内の熱流束を分子移動による寄与と分子間相互作用による寄与に分離することが可能となった.今後は本解析プログラムを用いて,界面微細構造がエネルギー伝達に与える影響を定量的に評価する予定である. (3)集積微細構造の形成に関する予備実験の実施 非平衡分子動力学シミュレーションで用いたモデルと同様の炭素ナノ粒子が付着した伝熱面を作成するために,炭素ナノ粒子の形成のための予備実験を実施し,形成された炭素ナノ粒子の組成などを分析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,非平衡分子動力学解析を行い,界面微細構造と熱抵抗の関係について研究成果が得られていること,ならびに簡易な液体分子モデル系における固液界面のエネルギー伝達機構の解析プログラムの作成が順調に進んでいることからおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のシミュレーション結果より,数nmの特性長さを持つ界面微細構造によって得られる固液界面熱抵抗の変化の様子やオーダーを定性的に明らかにすることができたが,その変化のメカニズムについては十分に知見が得られていないため,まずは,界面熱抵抗が微細構造によって変化するメカニズムを非平衡分子動力学シミュレーションによって明らかにする.次に,微細構造が集積した場合に固液界面で生じる固液界面の状態変化とその状態変化が輸送現象に与える影響を明らかにしていく予定である.
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