2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子間エネルギー輸送機構に基づいた固液界面熱抵抗の制御
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23360099
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝原 正彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40294045)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固液界面 / 界面熱抵抗 / エネルギー伝達機構 / 非平衡分子動力学 / ナノ構造 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は,分子間エネルギー伝達機構を微細構造で直接制御することにより,固液界面熱抵抗をコントロールするための理論と方法論を確立することを目的として,非平衡分子動力学シミュレーションを基にして,以下の3項目について研究を実施した. ①固液界面微細構造と固液界面熱抵抗の関係に対する液体分子モデルの影響の解明: 液体分子として単原子分子モデルならびに水分子モデルを用いた場合について,ナノチャネルを有する微細加工面における液浸入現象ならびに固液界面熱抵抗を非平衡分子動力学シミュレーションによって評価した.その計算結果を用いて,液体分子モデルならびに界面微細構造が,液浸入現象ならびに固液界面熱抵抗に与える影響について考察を行った.計算結果から,液体分子モデルに依らず,ナノチャネルを有する微細加工面において完全平面と比べて界面熱抵抗が低下する条件があることが明らかとなった. ②固体-液体界面分子エネルギー伝達機構の解析: ナノチャネルによって固液界面熱抵抗が低下する原因を明らかにするために,分子エネルギー伝達機構に基づいて解析を行った.その結果から,ナノチャネル側面において,巨視的な熱伝導方向に対して垂直な局所的なエネルギー流束が発生しており,その影響によって界面熱抵抗が低下することが明らかとなった. ③集積微細構造としてのナノ粒子多孔質層が固液界面熱抵抗に与える影響:炭素ナノ粒子が二層堆積する多孔質層が伝熱面に付着するモデル系に関するシミュレーションプログラムを作成した.テスト計算より,炭素ナノ粒子内の原子運動を直接計算すると計算負荷が極めて大きくなることを確認した. 前記①と②に関して,研究成果をまとめて,論文投稿を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,非平衡分子動力学解析を行い,界面微細構造と熱抵抗の関係に対する液体分子モデルの影響について研究成果が得られていること,ならびにナノ粒子が体積したモデル系における固液界面のエネルギー伝達機構の解析プログラムの作成が順調に進んでいることからおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のシミュレーション結果より,ナノチャネルを有する界面微細構造によって得られる固液界面熱抵抗の変化のメカニズムについては明らかにすることができたが,ナノ粒子堆積構造が固液界面熱抵抗やエネルギー輸送メカニズムに及ぼす影響については十分に知見が得られていない.よって,今後は,ナノ粒子が付着した界面やナノ粒子が堆積した界面において,界面熱抵抗が変化するメカニズムを非平衡分子動力学シミュレーションによって明らかにしていく予定である.
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Research Products
(9 results)