2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360101
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 厚史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10243924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 竜也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (70532331)
西山 貴史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80363381)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ熱プローブ / ホットフィルムセンサ / カーボンナノチューブ / DMM / ファンデルワールス力 / 近接場輻射 |
Research Abstract |
長さ10ミクロン幅0.5ミクロン程度の懸架型白金ホットフィルムセンサを基板の端面近傍に製作し、そこにナノワイヤ材料を接合することで熱プローブセンサが出来上がる。今年度は、前年度に引き続いて多層カーボンナノチューブをプローブとして、その先端を金、白金、酸化シリコンという三種類のターゲット材料と接触させて、界面熱抵抗の物質依存性を計測した。今回、特に工夫したのは、これまで電子顕微鏡内で行っていた接触実験を改め、光学顕微鏡下で観察可能な実験系を整備した点である。これは長作動距離の対物レンズとナノマニピュレータを備えた真空チャンバーにクライオを導入したもので、これによって界面への電子線によるアモルファスカーボンの堆積を防ぐことができるようになり、界面の熱輸送計測データの信頼性が大きく向上した。実験結果としては、界面の熱輸送解析でよく用いられているディヒューズミスマッチモデル(DMM)による予測と異なり、物質依存性はほとんど現れないことがわかった。蒸着による界面とは異なり、接触と非接触を繰り返すことが可能な界面ではファンデルワールス力が支配するため、フォノンの透過問題では扱えないと結論することができた。また、この現象を究明するために新たにシミュレーション用計算機を導入して揺動電磁気理論による近接場輻射解析プログラムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ファンデルワールス力に支配された界面の熱抵抗を正しく計測し、過去の解析モデルの限界を示した意義は大きい。実験装置の立ち上げにも成功し、物質依存性など価値のある成果が生まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験に関しては計画通りに進めるが、学術的波及効果を高めるために実験結果を裏付ける理論モデルの開発に力を入れる予定である。
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Research Products
(6 results)