2012 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外温度イメージング法によるマイクロ化学チップ内の発熱反応測定
Project/Area Number |
23360102
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
角田 直人 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70345437)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 温度イメージング / 近赤外分光 / マイクロ化学チップ / 発熱反応 |
Research Abstract |
近赤外温度イメージング法において、水分量変化が温度画像に与える影響を除去するための方法について主に検討した。水の等吸収点である波長1440 nmの吸光度画像を利用して、波長1412 nmの温度画像を補正する方法を採用した。そのための温度と水分量の同時イメージングシステムを開発した。実績の詳細は以下のとおりである。 (1)近赤外カメラと狭帯透過フィルタを組み合わせた温度水分量同時イメージング装置を開発し、その有効性を検証した。温度測定波長(1412 nm)と非温度依存性の等吸収波長(1440 nm)の狭帯バンドパスフィルタに対して、オプティカルチョッパによって交互に光照射し、試料への入射光とする光学システムとした。温度と水分量の画像を個々に取得できることを確認した。 (2)流路深さが0.5 mmのY字型流体チップを局所加熱した場合の温度画像を取得した。温度分解能は0.1 Kが得られた。温度イメージングと併せて、2台の分光器による2点同時スペクトル測定を行った。 (3)上と同じ流体チップを用いて、エタノール水溶液と水が同時に流入した場合のイメージングを行い、エタノール濃度を反映した画像を得た。 (4)液内部に微小な発熱体がある場合の断面温度分布を、近赤外温度イメージング法によって得られた吸光度画像にAbel逆変換を適用して予測した。吸光度プロファイルの近似はガウス関数和を用いることで解析的なAbel逆変換法を採用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流路内の発熱反応のイメージングのためには、温度と共に生成もしくは消費した物質の濃度を測定する必要がある。これは同一波長の吸光度が両者の影響を受けるため必要なのであるが、このことを実現する方法は従来なかったため、本研究ではオリジナルの測定システムを開発した。測定結果は予想通りに温度と物質濃度の画像を同時に得られることを示し、温度と濃度の定量的な差も明らかにした。今後の発熱反応測定に向けて大きな前進があったといえる。 また、液体内部の微小な発熱部周り温度分布を逆問題解法で求められることを示し、当初計画の目標が達成できた。これらの成果は学会等で発表した。 以上の点から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに測定システムの開発と検証をほぼ終えたので、実験を中心とした研究を推進する計画である。研究計画の変更はないが、研究協力者が予定より1名増員(首都大大学院生)したため、実験を拡充して実施できる。
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Research Products
(7 results)