2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁歪式マイクロ振動発電素子を用いた自動車用自律センシングシステムの開発
Project/Area Number |
23360120
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 敏幸 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30338256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 外史 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (80019786)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 振動発電 / 磁歪材料 / エナジーハーベスト |
Research Abstract |
本研究では,鉄系磁歪材料(Fe-Ga合金)を用いた小型の振動発電デバイスを開発し,これを用いたワイヤレスセンサシステムを構築する。発電デバイスはシンプルで堅牢,高出力,高効率,低インピーダンス,高耐熱性が特徴で,例えば自動車など輸送機械の振動を利用することで,高い発電を行うことが期待できる。これを電源とした配線や電池が不要なワイヤレスセンサシステム(タイヤ空気圧モニタシステムやリモコンなど)を実現させることが本研究の目的である。本年度は磁歪素子一本で構成されるユニモルフ型デバイスについて,素子に一様な応力を付加するL字型ヨーク構造を考案し,その実用性を試作にて検証した。結果,従来の直線型に比べ,L字型は同じ機械入力に対する発電出力及び効率が大幅に増加し,これがL字構造で付加される一様な曲げモーメントに起因していることを理論及び解析で裏付けた。また低い周波数の振動からデバイスの高い1次自由振動(400Hz)を励振する梁と磁石で構成された周波数アップコンバータを考案し,その効果を試作にて検証した。その結果,サイズをさほど大きくすることなく,100Hz程度の振動にて,mWオーダの出力を発生するデバイスの開発に成功した。併せて,整流と蓄電回路も動作の検証し,TPMSや無線センサシステムの電源とした十分な直流電力を確認した。また棒や杖を叩く衝撃から発電を行う基本構造と原理を複数の試作にて検証し,実用的に発電を行う構成の指針を明らかにした。これは目の不自由な人が使う白杖を光らせるに応用できる。またスイッチ型発電機を基本にした浮力から発電を行う原理を試作にて検証し,水面の上下で連続的に発電を行うシステムの動作を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトにて考案したユニモルフ型発電デバイスの実用性と汎用性を試作評価にて実証した。更に,これから派生するL字型構造や周波数アップコンバータ,衝撃型デバイス,発電スイッチやその応用(浮力を利用する)の開発は,当初の目的以上であり,これらの原理や動作を一年間で実証したのは大きな成果である。また考案した振動発電技術は特許化され,既に複数の企業とのライセンス契約にて商品化に向けた研究開発が開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
ユニモルフ型発電デバイスにおいては,更なる性能向上のための構造及び磁気回路の改良を進める。また磁歪材料の物性や構成方程式を仲立ちとした電気・機械連成理論モデルを構築し,シミュレーションにて負荷から効率よくエネルギーを取り出す整合条件や蓄電回路の構成を明らかにする。また昨年度で実証した発電機の構造,工夫及び励振原理については実環境の振動を考慮した設計を行い,試作にて,その実用性を明らかにする。以上を複合し,実用的な電池が要らないワイヤレスセンサシステム及びリモコンの試作機を開発する。
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