2012 Fiscal Year Annual Research Report
室温からの連続駆動可能な脱レアアース形高温超伝導誘導同期回転機の研究
Project/Area Number |
23360124
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 武恒 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303861)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 未知央 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 超伝導低温工学センター, 助教 (30402960)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 高温超伝導 / 脱レアアース / 誘導同期回転機 / 非超伝導駆動 / 温度可変駆動 / 冷凍機伝導冷却 / 珪素鋼板 / 熱拡散率 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らが先導研究を推進している高温超伝導誘導同期回転機について、非超伝導状態においても駆動可能な構造・制御方法の検討を実施した。本年度は、まず20 kW級機について、超伝導状態から非超伝導状態への連続回転試験を実施し、問題なく駆動できることを実証した。次に、上記に加えて超伝導状態においても温度可変駆動の可能性の検討を実施する発想に至ったため、回転機特性の温度変化を中心に検討した。超伝導回転機特性について、その温度変化は、大きな熱容量を有する熱心材料によって制約される。従って、GM冷凍機によって伝導冷却する実験システムを構築し、回転子鉄心材料を熱負荷とした冷却特性(主として熱拡散率)を各種初期温度に対して実験的かつ解析的に検討した。 まず、GM冷凍機コールドヘッドと熱負荷との間の熱抵抗を評価するため、熱物性値が既知の純銅を標準熱負荷として設置し、当該負荷末端部に設置したヒータ入熱に対する温度変化を測定した。そして、得られた結果を一次元熱伝導方程式でフィッティングすることによってコールドヘッドと熱負荷間の熱抵抗を定量化した。 次に、標準熱負荷と同一体格の積層珪素鋼板を被測定対象としてコールドヘッドに設置し、同様の入熱を与えた場合の温度変化を測定した。その結果、入熱方向(珪素鋼板の積層方向)の温度変化率が、入熱と垂直方向に比較して数桁も低いことが明らかになった。積層方向の熱拡散率が低いことは経験的にも理解されるが、本研究によって通常の常識を超える低温度変化率であることが明確になったことから、長手方向の抜熱は殆ど期待できず、即ち径方向から抜熱しなければならないことが分かった。本成果は、本研究で検討している高温超伝導誘導同期回転機の熱設計だけでなく、広く珪素鋼板を極低温度で使用する際に重要な知見になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
20 kW級機について、超伝導状態と非超伝導状態において連続駆動に成功した。また、超伝導状態ならびに非超伝導状態における連続最適制御方法を、非線形等価回路に基づいて解析し、その実現可能性を明確化した。また、当該駆動を定量的に実現するために、鉄芯材料の熱拡散率の温度変化を実験的ならびに解析的に明確化し、温度可変駆動特性の検討に生かした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究成果に基づき、超伝導状態ならびに非超伝導状態の両状態について、高温超伝導誘導同期回転機の温度特性を積極的に利用した最適設計を実施していく予定である。特に、始動時・過負荷時などは大きなトルクを要するが、定常運転時に比較してその必要継続時間は短い。従って、そうした始動時・過負荷時に若干温度を下げて超伝導特性(臨界電流値)を改善し、定常状態では温度を上げて運転することによって、冷凍機COPまで含めたシステム効率を最適化できると期待される。 上記、特に冷凍機まで含めた検討が必要であり、今後冷凍機の駆動周波数も積極的に変化させてシステムの最適構成や駆動方法を検討していく予定である。
|