2011 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光発電大量連系を可能とする次世代配電ネットワーク運用支援統合シミュレータ開発
Project/Area Number |
23360128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若尾 真治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70257210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40257209)
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Keywords | 太陽光発電 / 住宅負荷 / 予測 / モデリング / 最適送出制御手法 / 最適構成制御手法 / 最大電圧不平衡率 / 変圧器タップ切替 |
Research Abstract |
本研究は、今後予想される太陽光発電(PV)の大量連系を見据えて配電ネットワークの新しい運用形態の創出・確立を目指し、構成要素のモデリングから最終的なネットワークの設計・運用指針の決定支援までの一貫したプロセスを全てカバーする高速・高精度な統合型のシミュレータを構築することを最終的な目的としている。 本年度では、シミュレータの構築に向けて、(1)「一般家庭負荷やPV出力の高精度かつ汎用的なモデリング手法の開発」、(2)「配電ネットワークの最適送出電圧プロファイルの制御手法の開発」の2項日に焦点を当てた。 テーマ(1)に関しては、数百件規模のPV設置住宅における実測データに対しクラスター分析などを実施し、数理工学の側面から需要家の負荷およびPV出力の時間変動特性を解明した。また、同一クラスター内においても需要家の負荷やPV出力にはばらつきが存在するため、シミュレーションに転用可能な汎用性のあるモデリングを目指し、正規乱数係数を用いた一般性のある負荷・発電量のモデル化手法を開発した。 テーマ(2)に関しては、多数または大容量のPVシステムが連系された配電ネットワークにおいて、電圧上下限制約を逸脱しないという制約条件下で、上下限値からの電圧余裕の最大化と最大電圧不平衡率の最小化を目的として、センサ開閉器の電圧監視情報をもとに最適な創出電圧プロファイルを制御する手法を開発した。制御のロジックとしては、従来の送り出し電圧プロファイルを初期解として、センサ開閉器の電圧監視情報をもとに、変圧器タップの切り替え数の限界を制約条件とした上で、電圧余裕が極力大きく、かつ三相電圧不平衡率を極力小さくするようにプロブァイルを時間に従い動的に変更させる方針を採った。また、PV連系配電ネットワークモデルを用いた計算機シミュレーションを通して、開発した最適送出電圧プロファイルの制御手法の制御効果の妥当性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発した「数百件規模の実測データの統計的特徴を適切に考慮した需要家の負荷やPV出力のモデル化手法」を用いることで、従来のモデリングよりもならし効果を適切に模擬できること等の有効性を、PV連系配電ネットワークモデルを用いた計算機シミュレーションを通して見出すことができ、当初の想定以上に有益な成果を行ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
配電ネットワークの配電損失が最小となる放射状構成を実規する開閉器制御に対し昨年度開発した最適送出電圧制御手法を導入し、両者を協調的に制御させることで、配電損失が最小となるネットワーク構成下で、電圧制御の目的を最大限に達成する融合手法を開発する。また、計算機シミュレーションと本研究グループが学内に所有するグリッド模擬実験装置を用いた実験を通して、開発手法の妥当性を検証する。さらに、シミュレータのポストプロセッサー、すなわち最終的なネットワークの設計・運用指針の決定支援ツールとして、多次元情報を包含するパレート最適解群から設計情報の効果的な抽出を可能とする情報処理手法を開発する。
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Research Products
(21 results)