2012 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光発電大量連系を可能とする次世代配電ネットワーク運用支援統合シミュレータ開発
Project/Area Number |
23360128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若尾 真治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70257210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泰弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40257209)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 太陽光発電 / 住宅負荷 / 予測 / モデリング / 最適送出電圧制御手法 / 最適構成制御手法 / 最大電圧不平衡率 / 変圧器タップ切替 |
Research Abstract |
本研究では、今後の太陽光発電(PV)の大量連系を見据え、構成要素のモデリングからネットワークの設計・運用指針の決定支援までの一貫したプロセスを全てカバーする統合型のシミュレータ構築を目的とし、24年度では(1)「配電ネットワークにおける最適送出電圧制御と最適構成制御の協調手法の開発」、(2)「多種多様な目的関数とネットワーク設計・運用制御の設計変数間の複雑な相関情報をパレート最適解より抽出し、最終的なネットワーク設計・運用指針の決定を行う情報処理手法の開発」の2項目に焦点を当てた。 テーマ(1)に関しては、大容量PVシステムが分散設置された配電ネットワークにおいて、電圧上下限制約、線路容量制約などの制約条件下で配電損失の最小化を目的として、膨大な解候補から最適構成を現実的な時間内に探索可能な手法の開発を行った。探索手法としては、開閉器の開閉状況を論理関数として表現し、二分決定グラフ(BDD)に優先すべき変数の順序を導入することでROBDDの作成を行い、制約条件を満たす解候補を現実的な候補数で列挙することで探索の高効率化を図った。また、配電ネットワーク構成を決定する際に、昨年度開発した最適送出電圧制御のアルゴリズムを導入することで配電ロスを最小化しつつ、電圧余裕最大化及び三相不平衡率最小化を満たすような協調制御方式の開発を行った。PV連系配電ネットワークを用いた計算機シミュレーション及び、当大学に設置されているグリッド模擬実験装置を用いた実験の両面から定量的な評価を行い、妥当性を明らかにした。 テーマ(2)に関しては、電力品質・保護・保安面に加え、太陽光発電のコストやCO2ペイバクタイムなどの経済性・環境性の指標など、目的関数及び設計変数を大幅に多様化させた状況下でも、最終的なネットワーク設計・運用指針の決定作業効率を向上させる自己組織化マップを活用した情報処理手法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度取組んだ「配電ネットワークにおける最適送出電圧制御と最適構成制御の協調手法の開発」においては、開発手法による計算機シミュレーションとグリッド模擬実験装置を用いた実験との比較を通して、その有効性と妥当性を検証できた。また、「パレート最適解より、多種多様なニーズ(目的関数)とネットワーク設計・運用制御の自由度(設計変数)間の複雑な相関情報の抽出手法の開発」においても、実規模レベルの例題で検証した結果、最終的なネットワーク設計・運用の指針決定の高効率化が開発手法により十分可能であることが明らかとなった。このように、当初の予定通り、順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終的な目的は、環境・エネルギー問題を背景に今後予想される太陽光発電の配電ネットワークへの大量連系を実現可能とすべく、最適送出電圧制御方式と最適構成制御方式という配電ネットワークの新しい運用形態の創出・確立を目指し、数値解析、最適化、統計推測、機械学習の理論を融合し、構成要素のモデリングから最終的なネットワークの設計・運用指針の決定支援までの一貫したプロセスを全てカバーする高速・高精度な統合型のシミュレータを構築することである。 最終年度となる次年度では、これまでに開発した ・一般家庭負荷や太陽光発電出力のモデリング手法 ・配電ネットワークにおける最適化設計・運用手法 ・最終的なネットワーク設計・運用指針の決定支援手法 を融合し、統合型シミュレータを構築すると同時に、グリッド模擬実験装置を用いてその精度検証を行う。
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Research Products
(14 results)