2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360133
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安達 定雄 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10202631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊博 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90451715)
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Keywords | 蛍光体 / LED / 希土類 / Si / 照明 |
Research Abstract |
研究初年度は、化学的手法によう多孔質Siの作製から、HFにKMnO_4酸化剤を添加することにより偶然発見した、K_2SiF_6:Mn^<4+>赤色蛍光体の発光諸特性について詳細な理論的、実験的解析を行った。この赤色蛍光体の最大の特徴として、高性能蛍光体が極めて安価に合成可能になることが上げられる。"高性能蛍光体"は、具体的には、i)外部量子効率が極めて高く(約40%)、ii)青色LED励起で最大の赤色発光強度、iii)高温での温度消光が少なく、かつiv)「希土類元素フリー」が上げられる。青色LEDで強く発光する赤色蛍光体は当将来の環境・気候変動を懸念し「2008北海道洞爺湖サミット」で議論されたCO_2削減案件(2050年までCO_2排出50%削減がG8諸国の長期目標)の達成を左右しかねない重要なものである。ちなみに、全電力に占める照明用途の割合は約20%であり、高効率照明としての白色LED実現には、赤色蛍光体が不可欠である。供給国中国に大きく依存している「希土類」を含まない蛍光体としても、大きな魅力である。初年度は、この六フッ化物蛍光体であるK_2SiF_6:Mn^<4+>と類似の蛍光体、A_2BF_6:Mn^<4+>(A=Na,Cs,NH_4;B=Si,Ge,Sn,Mn)の合成にも成功し、これら蛍光体の諸性質も調べた。また、六フッ化物蛍光体を母体とし、Mn^<2+>を賦活剤とした新しい黄色蛍光体の合成にも成功した。さらに、SnCl_2、MnF_2、KC1:Sn^<2+>などの赤、緑、青色発光蛍光体の合成と諸特性の測定も行った。そして、蛍光体だけでなく、LEDやナノワイヤ物質、半導体微粒子と蛍光体との複合機能素子の開発を目指して、これら材料の物性を解明すべく、基礎研究も進め、所望の結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究者の熱意と向学意欲に富む研究室学生のおかげ。特に研究者は、平日だけでなく祝日にも研究課題と向き合い、また土曜日及び日曜日も学術論文執筆の努力が実った結果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が順調に進展しているので、特記すべき問題点などはなく、よって対応策も不要である。ただ、大学の研究はどうしても真理の探求を意識しすぎて、「基礎」に重点がおかれやすい。「基礎」が重要なことは勿論、今後は更なる企業からの協力を仰ぎ、「応用(実用化)」を強く意識した研究も進めたい。そのための最適な研究方法や研究設備の充実にも努力したい。
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Research Products
(34 results)