2012 Fiscal Year Annual Research Report
超音波アシスト水熱合成法による100ミクロン厚の高品質圧電厚膜
Project/Area Number |
23360134
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 剛 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (60344735)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 厚膜 / 強誘電・圧電薄膜 / 水熱合成法 |
Research Abstract |
今までに、水熱合成反応プロセスを利用することにより、高品質なエピタキシャルチタン酸鉛薄膜やニオブ酸カリウム系微細粉末を合成することに成功している。本研究では、独自開発し圧力容器を用いて、水熱合成プロセス中に強力超音波を照射して反応促進させることによって圧電厚膜を得ることを目指している。 本年度は、昨年度までに開発したニオブ酸リチウム単結晶を積層したボルト締めランジュバン振動子を圧力容器に導入し、非鉛圧電薄膜の水熱合成を試みた。その結果、強力超音波照射を行うことにより、ニオブ酸カリウム薄膜の膜厚が5倍以上に向上し、156ミクロンとなった。この結果から、繰り返し成膜を行わなくとも、医療用超音波デバイス用厚膜に応用できることが期待できる。 また、鉛系PZT薄膜において、昨年度までの超音波パワーを向上させることにより、9.2ミクロンの膜厚から16ミクロンに向上することが確認できた。これは、超音波照射を行わない場合に比べて、8倍である。 このように、当該研究において、超音波照射が厚膜化に効果があることが明らかになったが、照射周波数や超音波パワーなどのパラメータを最適化させることにより、さらなる厚膜化が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きな目的の一つである100ミクロン厚が既に達成できている。また、ポーラスチタン基板への圧電薄膜の成膜も実現できた。しかし、今後は強誘電、圧電特性の評価が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で提案した、強力超音波照射による水熱合成プロセスの反応促進への効果は非常に大きいことが明らかになった。非鉛圧電薄膜の場合には5倍の厚膜化となり157ミクロン、PZTの場合には8倍の16ミクロンが達成できている。 今後は、超音波照射パラメータの最適化が必要であり、駆動周波数を変化させた強力超音波振動子を試作している。これを用いて、超音波照射周波数の依存性について研究を行う予定である。また、成膜された圧電薄膜の評価が必要となるので、アドミタンス特性などの電気的評価とともに、実際に薄膜を駆動して水中に超音波照射を照射したときの音響パワーを測定する。 また、超音波照射による反応促進のメカニズムは、特に結晶核生成プロセスが促進されていることを実証しているが、今後はより詳細な検討を行う。
|