2011 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体を用いた不揮発的共振制御と振動型MEMSデバイス高機能化への応用
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23360136
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40263230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 孝之 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (50336830)
野田 実 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20294168)
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Keywords | 圧電体 / 強誘電体 / MEMS / 共振 / 分極 |
Research Abstract |
撓み形状の異なるデバイスでの共振周波数変化を評価するための圧電ダイアフラム構造体を作製した。従来,SiO_2ダイアフラムで平坦な構造を作製しており,撓んだ構造を作製するには脆弱なSiO_2のみではプロセスに耐えず破損してしまうためSOIウェハを用いたシリコンダイアフラム構造を採用していた。そのため,共振周波数変化のバタフライカーブの上下反転(平坦なSiO_2ダイアフラムでW形,撓んだシリコンダイアフラムでM形)が撓み形状だけに依存せず,ダイアフラム構造の材料に影響を受ける可能性を排除できなかった。今回,作製するプロセスを改良することにより,ダイアフラムを破損せずに,シリコンを含まないSiO_2上に撓みを持つ圧電キャパシタを完成することを可能とした。これは,シリコン深掘りによりダイアフラム構造が完成する前に,表側にPZT薄膜を製膜するもので,表面保護が容易なICP-RIEを用いたドライエッチングによりバルクマイクロマシニングを行うことで可能となったプロセスであり,従来のアルカリ溶液による異方性エッチングでは非常に困難であったものである。 プロセスの改良で,同じSiO_2ダイアフラム上に圧電キャパシタを形成できるようになり,構造材に依存せず撓み形状のみに依存した共振挙動を評価できるようになった。このようにして作製したデバイスで共振周波数変化を評価したところ,撓みを持つダイアフラムでも平坦ダイアフラムと同じW形のバタフライカーブを確認した。このことから,バタフライカーブの形状は撓みではなく構造材の影響による可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の種々の形状サンプルでの共振周波数変化の評価がまだ完成に達していないが,新たにサンプルの構造面の影響と材料面の影響を分離できるデバイス作製法を確立したことで,共振周波数変化のメカニズム解明へのアプローチがより単純かつ高精度に行えるようになり,また評価結果の解釈がより容易になるため。
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Strategy for Future Research Activity |
撓みを持つダイアフラムでもW形のバタフライを得ることができ,Siダイアフラム構造のものと併せて撓みを持つ高感度なセンサでW形とM形の両方の共振周波数変化を評価することが可能となった。構造と材料の両方の面から更に詳細に共振周波数変化のメカニズム解明に取り組む。また,振動型MEMSデバイスの高機能化への応用について,まず複数周波数計測による超音波アレイセンサにおける高分解能・ゴースト低減の計測法について,計算機シミュレーションによる効果の検討を先行して始める。
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Research Products
(1 results)