2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代高機能ディスプレイの実現に向けた低温多結晶シリコン薄膜トランジスタ
Project/Area Number |
23360137
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
浦岡 行治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (20314536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 睦 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60368032)
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Keywords | 多結晶シリコン / レーザ照射 / 薄膜トランジスタ / 結晶化 / 無機EL / 硫化亜鉛 / マイクロ波 / 高圧水蒸気処理 |
Research Abstract |
本研究は高性能な薄膜トランジスタの開発(駆動部)及び無機EL蛍光体の低温形成(発光部)を提案するものであり、それぞれのテーマを平行して実施した。薄膜トランジスタの形成においては、水中レーザによるシリコン薄膜の結晶化、チャネル表面欠陥の不活性化、不純物の活性化を中心に研究を展開、蛍光体の形成に関しては、マイクロ波照射に伴う輝度向上ならびに微粒化による蛍光体層の薄膜化を中心に研究を進めてきた。特に、性能・信頼性の評価には、プローブ顕微鏡を用いた局所的電気評価、発光解析手法を用いたホットキャリア劣化解析を実施することで、プラスチック基板上に単結晶LSI並みの駆動回路を実現した。Nd:YAGLaserを水中で非晶質のシリコン薄膜に照射し、その結晶性を評価した。その結果、大気中とは異なり、薄膜表面の温度上昇を抑えることで、表面の平坦性を維持しつつ、膜中の温度プロファイルの制御によって、平均粒径と粒径分布が大きく改善されることがわかった。照射条件に対する結晶性、表面モフォロジー、平均粒径、粒径ばらつき、基板ダメージなどを詳しく評価することで、プラスチック基板などへの可能性を検討した。一方、スクリーン印刷手法を用いて、プラスチック基板上に分散型無機ELを作製した。発光材料であるZnS粒子にマイクロ波を照射することで、輝度の大幅な向上が見込めることを基礎的な実験から確認した。また、粒子を機械的に粉砕し、ナノメータスケールにし、蛍光体層を薄膜化することで印加電圧を低減した。さらに、高圧水蒸気を施すことで、ZnSの表面欠陥を終端し、輝度を2倍以上を向上することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
装置の立ち上げが思いのほかスムーズに進み、実験時間や回数が計画より多くできた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の進捗は極めて順調であり、申請書に記入した計画通りに進めることができている。予定通り、低温基板上に、素子の作製や蛍光体の輝度向上に向けた取り組みを行う予定である。
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