2011 Fiscal Year Annual Research Report
(Cu,C)系積層構造を用いた高臨界温度・レアアースレス超伝導薄膜材料の創成
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23360139
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺田 教男 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 教授 (20322323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 哲治 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20347082)
小原 幸三 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10094129)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 薄膜 / 表面・界面物性 / 量子エレクトロニクス / 強相関エレクトロニクス |
Research Abstract |
(Cu,C)1201相薄膜を基幹とする積層構造・人工格子におけるヘテロ界面精密制御による超伝導特性の極限追求、構成元素同時供給による形成技術の開発を目標として、今年度は第一段階として(Cu,C)-1201層/無限層構造SrCuO_2バッファ層界面の歪みが伝導特性・超伝導発現に及ぼす効果を検討し、 [1]SrCuO_2層がSrTiO_3(100)面上に層厚10nm程度まで歪格子としてエピタキシャル成長し、その面内格子定数が層厚とともに伸長すること、[2]SrCuO_2層厚により(Cu,C)-1201/SrCuO_2界面ミスマッチ率を制御できることを見出した。この成果を利用して、界面格子ミスマッチ率が(CuC)-1201層の伝導特性に及ぼす影響を調べたところ、同一条件で成長した1201層に関して[3]過大なミスマッチ率により積層欠陥が発生した場合、超伝導性を有さない半導体的抵抗率-温度依存性となること、界面格子ミスマッチ起源の圧縮歪が印加されている場合、50K級の超伝導特性が発現すること、圧縮歪の減少により超伝導特性が劣nm以下の極薄状態で超伝導発現を実現するとともに、[(Cu,C)-1201/CaCuO_2]N積層構造(N:積層繰返し回数)の同一条件下でのエピタキシャル成長を実現し、顕著な超伝導臨界温度の向上すること等の成果を得た。これらは界面歪、歪エピタキシャル成長がこの系の超伝導特性の重要な支配因子であることを示しており、1201層厚変化、挿入層物質制御よる界面効果の最適化、歪分布制御による高Tc発現領域の広域化が期待できることを意味している。また、伝導度向上のもう一つの鍵である高酸化度の実現に適する、高酸化雰囲気での成膜に特化したPLDシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要課題は、独自に見出した(Cu,C)1201レアアース・レス超伝導薄膜を基幹する系に注目し、その構造制御・人工積層化により高特性化を図ることにある。本年度の成果は、この系における超伝導発現に重要な因子の解明・その制御手法の開発、及び計画した人工積層手法による特性向上のフィージビリティーの確認と位置づけられる。これらから、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)(Cu,C)-1201層との界面歪みの連続変化が可能な無限層構造:MCuO_2(M:アルカリ土類)挿入層を導入し、界面歪効果を最適化した上で積層構造を作成し、並行してin-situ低温光電子分光測定、ホール係数の温度依存性等を行い、得られる電子構造情報、輸送特性を作成にフィードバックすることにより、多層型中1系で見出した高船c(133K)の発現機構[単位胞内電位分布制御による高酸化状態電荷供給層からCuO_2面へのホール再分配;(Cu,C)系も類似の始状態を持つ]を(Cu,C)系での発現に向けた構造制御を実施する。これらにより(Cu,C)系の超伝導特性の極限を明らかにする。2)前年度に開発した高酸素圧力下での成膜に特化したPLDシステムを用いて全構成元素を同時供給する手法による高Tc-(Cu,C)系薄膜作成を行い、特性発現のための必要条件を検討し、この系の簡便かつ実用的な成長技術の基盤を確立する。
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Research Products
(8 results)