2011 Fiscal Year Annual Research Report
相変化マスクを用いた近赤外半導体ナノイメージング分光法と量子状態制御法の開発
Project/Area Number |
23360141
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70261196)
|
Keywords | 相変化材料 / 近赤外分光 / ナノ分光 / 量子ドット |
Research Abstract |
GeSbTe薄膜を光学マスクとした近赤外ナノスケール分光のデモンストレーションを試みた。まず、薄膜構造の設計を、FDTDシミュレーションを用いておこなった。光学的コントラストと励起光減衰の大きさを考慮し、膜厚の最適値として50nmという値を見出した。この厚さの場合、発光信号の減衰はほとんどないことも明らかとなった。また、アモルファス領域(開口)の大きさを直径300nmとした場合、試料内での光照射領域は、200nmとなるという結果を得た。測定用試料として、MBE成長によるInAs/InP量子ドットを用意した(発光波長は1100~1500nm)。その表面にGeSbTe薄膜(組成比10:2:13)をスパッタ成膜し、アニーリングにより結晶化した。フェムト秒パルスレーザ(波長800nm)、あるいはピコ秒パルスレーザ(波長532nm)を使い、非熱的にアモルファス開口を形成した(開口の大きさは300nm以下である)。続いて、He-Neレーザを光源として、量子ドットのフォトルミネッセンス測定をおこなった。GeSbTeの光学マスクを施していない領域では、数10本の発光ラインが見られるのに対し、アモルファス開口領域では、数本のみとなっており、観察されている量子ドットの個数が大幅に限定されていることがわかった。アモルファス開口部に連続光をごく短時間照射し、アニーリングによる結晶化をおこなったところ、数本の発光ラインが消滅し、開口が閉じたことを確認した。 以上のとおり、GeSbTeを光学マスクとした新しい顕微分光法の開発に成功した。近赤外領域で高空間分解能(200nm)と高集光効率を両立しており、光通信波長帯デバイス用材料・ナノ構造の評価ツールとしての意義は大きい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画である、光学マスクの設計、開口形成とその消去、ならびに分解能評価がすべて順調に遂行できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、今後は相変化にともなう応力印加により、量子ドット発光の制御を進める。
|