2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子・無機ナノコンポジットを用いた高性能絶縁材料の開発
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23360142
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 京三郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40277851)
平井 直志 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (30329122)
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Keywords | 誘電体 / イオンマイグレーション / ポリマーナノコンポジット / テラヘルツ時間領域分光 / 複素誘電率 / 誘電損率 / 誘電・磁性体 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究により、ポリマーナノコンポジットが優れた誘電・絶縁特性を示すことが明らかとなった。この理由のひとつは、ポリマーマトリクスとナノフィラーとの界面の相互作用と考えられている。そこで、我々は分子の振動、あるいは分子間相互作用の解析に用いられているテラヘルツ領域に注目し,ポリマーナノコンポジットの良好な物性の発現機構を解明する一助として、ポリカプロラクトンに対してテラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)測定を行った。 THz分光は、最近可能となった斬新な計測法であり、これを高分子の誘電特性の解明に用いた研究例は少ない。とくに、光強度のみならず、位相もわかるTDS測定は重要と考えている。 研究題目に掲げた高性能絶縁材料開発については、まずエポキシ樹脂絶縁プリント基板のエレクトロケミカルマイグレーション(=イオンマイグレーション)について、エポキシ樹脂にシリカナノフィラーを少量分散させることにより、陽極近傍での正電荷の移動を抑制でき、耐エレクトロケミカルマイグレーション性が向上することを見い出した。これについては、関連する他の研究助成での成果も含め、特許申請を準備している。 次に、強磁性体であるFeをナノ粒子化し、高い絶縁性をもつエポキシ樹脂に複合させ、低渦電流損、高誘電率、高透磁率を実現する新しい絶縁材料開発を目指している。表面処理剤としてオレイルアミンを利用し粒子の直接接触を防ぎ、超音波ホモジナイザーを利用し粒子を均一に分散させ、凝集を抑制することによって、これまでより高い誘電率、低い渦電流損、高い透磁率、高い強磁性共鳴周波数を実現している。 また、高分子中の種々の欠陥が禁制帯中の局在準位形成に及ぼす影響について、第一原理に基づく量子化学計算を行っており、とくに有極性基がもたらす影響について、いくつかの重要な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高性能絶縁材料開発について、関連する他の研究助成での成果も含めてのことであるが、特許申請を準備しているなど、研究は順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、より実用に役立つ技術を目指し、例えばパワー半導体モジュールの高性能化などにフォーカスして研究を進めたい。
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Research Products
(16 results)