2012 Fiscal Year Annual Research Report
高分子・無機ナノコンポジットを用いた高性能絶縁材料の開発
Project/Area Number |
23360142
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大木 義路 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70103611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 直志 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (30329122)
武田 京三郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40277851)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エポキシ樹脂 / ポリマーナノコンポジット / テラヘルツ時間領域分光 / 複素誘電率 / 熱伝導性 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究により、ポリマーナノコンポジットが優れた誘電・絶縁特性を示すことが明らかとなった。この理由のひとつは、ポリマーマトリクスとナノフィラーとの界面の相互作用と考えられている。ガラス転移点以上の高温になると電荷挙動に伴う誘電率および誘電損率の大きな上昇が現れるため、粘弾性緩和によるピークは隠れてしまう。これに対して、我々は、複素誘電率の逆数としての電気的モジュラスの印加電圧の周波数への依存性を解析することにより、低周波域での高分子の粘弾性挙動に起因する緩和現象を明確化することに成功した。すなわち、電気的モジュラスの解析は、これまで不可能であった緩和ピークを明確に示すことができる。現在、さまざまなナノコンポジットについてこの解析を行い、論文執筆の準備を行っている。これは、24年度秋より雇用しているポスドクの、最大の貢献である。 また、昨年度に引き続き、テラヘルツ時間領域分光(THz-TDS)測定を行った。THz分光は、最近可能となった斬新な計測法であり、これを高分子の誘電特性の解明に用いた研究例は少ない。とくに、光強度のみならず、位相もわかるTDS測定は重要と考えている。 高性能絶縁材料開発については、エポキシ樹脂ナノコンポジットについて、熱伝導性を向上させるために必要なフィラーを分散させることに注力した。熱伝導性が向上するためには、フィラーが極めて分散性良く添加されることが必須となる。熱伝導率の高い六方晶窒化ホウ素は通常は層状の構造をとっており、1ミクロン程度に積層されている。これをイソプロピルアルコールと超音波を用いることにより0.1ミクロン厚さにきれいにへき開する技術を確立した。これは熱伝導性を向上させるための重要な手掛かりと捉えることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 本科研費の成果をアピールすることにより、関連する研究テーマを課題として、産業界との共同研究もまとまった。このことは、本科研費によって、単に学術上の成果だけではなく、産業界から見ても興味ある成果が出ていることを示している。 引き続き、より実用に役立つ技術を目指し、例えば、パワー半導体モジュールの高性能化などにフォーカスして研究を進めたい。また、より大型の、たとえばNEDO研究を獲得するべく準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、より実用に役立つ技術を目指し、例えばパワー半導体モジュールの高性能化などにフォーカスして研究を進めたい。
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Research Products
(7 results)