2011 Fiscal Year Annual Research Report
パワーデバイス実用化に向けたダイヤモンド接合界面安定化に関する基礎研究
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23360143
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺地 徳之 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主任研究員 (50332747)
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Keywords | 電子・電気材料 / 低消費電力 / ダイヤモンド / ダイオード |
Research Abstract |
H23年度は、実用化に適した電極材料として熱的・機械的に安定なカーバイド金属をショットキー電極としたダイヤモンドショットキーダイオード(SBD)を作製し、漏れ電流の発生機構と電極界面の熱的耐性について調べた。 (1)低ショットキー障壁高さパッチ形成要因の解明 炭化タングステン(WC)をショットキー電極とするダイヤモンドSBDを用いて、界面の不均一性について調べた。電流-電圧測定したところ、順方向特性に肩が現れ、逆方向特性では10V~500Vにわたる広い電圧範囲で一定電流が流れる、即ち電流飽和する事が分かった。これは横型WCダイヤモンドSBD特有の現象であり、漏れ電流の起源はギャップ間準位からの発生電流であると考えられる。逆方向飽和電流値の温度依存性から、ギャップ間準位のエネルギー位置は価電子帯上端から0.12eV及び0.62eV上方と見積もった。当初予定していた不均一界面の影響は、WC/pダイヤモンド界面では顕著に現れなかった。このギャップ間準位は電極端部近傍に局在していることを同定した。 (2)ショットキー界面の熱的安定性の向上 電極材料として、これまでほとんど検討されてこなかった炭素を含有するカーバイド金属WCを用いて、その熱的安定性を調べた。700Kまで昇温をしても、逆方向電流の変化はほとんど見られず、高耐熱SBDの可能性が示された。 (3)漏れ電流キラー欠陥の低減 ダイヤモンド結晶の合成において、高品質結晶を比較的厚膜(>10μm)を得るための合成条件最適化を行った。下地基板を(100)面から[110]方向のステップが多くなるように数度オフをつけ、更に適切に表面エッチング処理を施すことで、再現性良く膜厚が10μm以上であり、成長面が平滑な結晶が得られる合成条件を得た。この合成法を拡張する事で、超高純度・高品質結晶がCVD法で得られる可能性がある。今年度では結晶膜厚150μmを達成した。膜を厚くする事により下地基板からCVD膜中への欠陥の伝搬の評価が容易となる事が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選定した電極がショットキー界面としても耐熱性に優れていることが分かったこと、またこの界面での漏れ電流の起源が明らかになったことが主な理由である。漏れ電流の低減に不可欠である高品質ダイヤモンドについては、その合成条件の最適化に大凡目途が立った。次年度は、この高品質結晶を用いて上記の評価を行うことで、より高性能かつシンプルな結果が得られるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
電極材料には、炭化タングステン等のカーバイド金属がダイヤモンドには適している事が分かった。ただし、界面の状態が電極金属蒸着で変性してしまうため、変性しにくい金を用いた場合も評価する必要があると思われる。ダイヤモンド結晶については、0.1μm程度から100μm以上と厚い結晶まで、広い膜厚範囲で成長させる技術が確立し、膜厚を大きく変えることが可能となった。これを用いて漏れ電流や絶縁破壊の膜厚依存性を評価する事で、その発生機構をより明確にし、抑制するための原理を確立する。
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[Presentation] Imperfections for diamond Schottky diodes2011
Author(s)
T.Teraji, A.Fiori, N.Kiritani, S.Tanimoto, S.Ohmagari, Y.Koide
Organizer
22th European Conference on Diamond, Diamond-Like Materials Carbon Nanotubes and Nitrides
Place of Presentation
Garmisch-Partenkirchen, Germany
Year and Date
2011-09-07
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