2012 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン基板上の選択再成長による窒化ガリウム系ノーマリオフ型デバイスに関する研究
Project/Area Number |
23360154
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
江川 孝志 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00232934)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 選択再成長 / 有機金属気相成長 / AlGaN/GaN / HEMT |
Research Abstract |
地球温暖化問題の主要因とされるCO2の排出削減のために種々の分野で省エネルギー化が取り上げられている。従来のSiを用いたMOSFETやIGBT等のSiデバイスでは、Siの物性限界に直面し大幅な性能向上はもはや困難な状況にある。本研究では、コスト、サイズ、放熱性、生産性・量産性を考慮して選択再成長技術を用いて大口径Si基板上にノーマリオフ型AlGaN/GaN HEMTを実現することを目的とする。 有機金属気相成長法を用いて、成長速度及び表面平坦性の選択成長時のIII/V比依存性及び成長圧力依存性(100 Torr-760 Torr)を調べるとともに、ノーマリオフ型のAlGaN/GaN HEMTの試作に関する研究を行った。サファイア基板及びSi基板上に選択再成長技術を用いてAlGaN/GaN HEMT構造を成長させた。この構造では、しきい値電圧が正のノーマリオフ型のデバイス特性を得るために、最初の成長ではAlが低く、かつ薄いAlGaN層を成長させた。その後、SiO2を選択再成長用のマスクとして、Al組成の高いAlGaN層を成長させた。 成長圧力が高い場合、SiO2の上にも成長され、選択的な成長が行われなかった。成長圧力が低いほど、選択再成長させる領域に成長できたが、周辺部分での成長層の膜厚増加が観察された。これは、Gaのマイグレーションによる効果で周辺部分の成長速度が増加したためと考えられる。選択再成長させる領域の面積とその領域に成長させた結晶のカソードルミネッセンス(CL)法による結晶性の評価を行った。成長させる面積が小さいほど、結晶性が改善される傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機金属気相成長法を用いて、サファイア基板及びSi基板上にAlGaN/GaN HEMT構造を選択再成長させ、成長速度及び表面平坦性の選択成長時のIII/V比依存性及び成長圧力依存性(100 Torr-760 Torr)を調べた。この構造では、しきい値電圧が正のノーマリオフ型のデバイス特性を得るために、最初の成長ではAlが低く、かつ薄いAlGaN層を成長させた。その後、SiO2を選択再成長用のマスクとして、Al組成の高いAlGaN層を成長させた。 成長圧力が高い場合、SiO2の上にも成長され、選択的な成長が行われなかった。成長圧力が低いほど、選択再成長させる領域に成長できたが、周辺部分での成長層の膜厚増加が観察された。これは、Gaのマイグレーションによる効果で周辺部分の成長速度が増加したためと考えられる。選択再成長させる領域の面積とその領域に成長させた結晶のカソードルミネッセンス(CL)法による結晶性の評価を行った。成長させる面積が小さいほど、結晶性が改善される傾向にあった。 以上の結果から、AlGaN層を選択再成長した時の成長速度及び表面平坦性の成長条件依存性、選択再成長面積依存性を調べ、基本的な成長条件が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
ノーマリオフ型AlGaN/GaN HEMTの試作を中心とした研究開発を行う。有機金属気相成長法により、4インチSi基板上に選択再成長技術を用いてHEMT構造を成長する。この構造では、しきい値電圧が正のノーマリオフ型のデバイス特性を得るために、最初の成長ではAl組成が比較的低く、かつ薄いAlGaN層を成長する。但し、このままの状態では、ソース及びドレインとなるオーミック電極を形成してもコンタクト抵抗が高くなり、良好な電流-電圧特性を得ることが困難であるため、ソース及びドレイン領域にAl0.25Ga0.75N層を選択的に再成長させる。 デバイスは、反応性イオンエッチング(RIE)を用いた素子間分離、SiO2表面保護膜の形成、ソース、ドレインとなるオーミック電極の形成、ゲートとなるショットキー電極の形成の順に行う。 デバイス特性の評価としては、TLM測定によるコンタクト抵抗の評価(選択再成長層の電気的な特性評価)、電流-電圧特性(相互コンダクタンス(gm)、ドレイン電流(Ids)としきい値電圧(Vth)の評価)、電流コラプスの測定、耐圧測定(選択再成長層及び再成長界面の特性が耐圧に及ぼす影響)などを行う。
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