2011 Fiscal Year Annual Research Report
素子特性ばらつきの統計性に基づく微弱信号検出の線形性改善方法とその実現方式の探究
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23360155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 俊匡 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324820)
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Keywords | 電子デバイス・集積回路 |
Research Abstract |
確率共鳴型信号検出方式はフラッシュA/D変換器と構成が似ているため、A/D変換器として性能指数などで比較される可能性があるが、むしろ受信機構成で見られる自動利得制御(AGC)増幅器とA/D変換器の組合せを、例えば、固定利得もしくは低利得増幅器と本方式の回路の組合せで比較し、感度や入力ダイナミックレンジで比較するべきと考える。例えば、感度を向上する場合、従来技術ではAGC増幅器の利得を増加させるが、本方式では比較器の数を増加して対応できる。低電源電圧化では利得の向上が線形性の劣化に引き起こすことを考慮すると、低電源電圧での本方式の優位性が期待できる。このような点を配慮して、平成24年度は、線形性にも着目し、下記のように、研究を実施した。 本方式では多数の比較器の入力オフセット電圧はガウス分布に従うと想定するので、そのままでは非線形成分を多く含むという問題がある。そこで, この方式の線形性を改善するため、非線形成分を低減する機能の実現方法を検討した。具体的には、テスト信号に対する応答出力より、入力オフセット分布の平均から大きく外れた入力オフセットを持つ比較器を検出し、そのコンパレータに適切なオフセットを意図的に与えることで、比較器の入力オフセット分布の非線形性を低減し、本方式の線形性を向上させる。130nm CMOSプロセスで設計した結果、30dBのSpurious Free Dynamic Rangeが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
用いる比較器の個数を調整して、分解能を向上させるものの、そのままでは比較器の応答効率が低下することにも対処すると同時に、非線形性も低減する技術として、比較器の入力オフセットの分布を変化させる技術を考案し、回路シミュレーションによりその実現可能性を実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
回路シミュレーションに留まらず、集積回路として試作し、実験的にもその可能性を示す。
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