2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Electron device/Electronic equipment
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀越 佳治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60287985)
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Keywords | 半導体 / 薄膜・量子構造 / 作成・評価技術 / 表面 / 界面 / エピタキシャル成長 / 結晶評価 / ヘテロ構造 |
Research Abstract |
太陽電池の重要な問題点のひとつは温度上昇による特性劣化である。集光型の場合、接合温度の上昇は著しく、100℃に達する場合もある。1sunの場合でも70℃以上に達する場合が多い。本研究では、温度上昇に伴う特性劣化の少ない太陽電池を開発する。基本的には半導体超格子構造を利用する。温度上昇による劣化の主な要因はバンドギャップの減少による起電力(Voc)の低下である。超格子のバンドギャップEg(SL)は、Eg(SL)=Eg(S)+E(Q)で表されるように、本来の半導体のバンドギャップEg(S)と超格子の量子効果によるE(Q)からなる。このうちEg(S)は温度上昇によって急激に減少するがE(Q)はほとんど変化しない。このため超格子太陽電池では起電力の減少を相対的に抑制することができる。この効果が顕著に現れる材料系の開拓が本研究の出発点である。この効果を確認するため、今年度はAlGaAs/GaAs超格子を活性層とするpin太陽電池と、全く等価なGaAs pin構造太陽電池を試作し、これらの太陽電池の解放電圧(Voc)、短絡電流(Isc)、および変換効率の温度依存を比較した。その結果温度の上昇に伴うVocの低下は超格子pin接合にの方がやや小さく効率の変化は少ないことが明らかになった。AlGaAs/GaAsではΔEc、ΔEvともに比較的小さく、超格子のエネルギーギャップに占める量子準位の効果は小さい。このため上記の効果はあまり顕著には現れないが、期待される効果が得られた。今後はΔEc、ΔEvの大きい材料について検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽電池の温度上昇に伴う特性劣化の原因は、主に解放電圧(Voc)の低下にある。これは太陽電池材料のバンドギャッブエネルギーが温度の上昇とともに著しく減少することによって生じる。超格子構造でこの問題を緩和する効果は、ΔEc、ΔEvともに大きい超格子において顕著になる。今期は、AlGaAs/GaAs超格子について原理確認に成功した。しかしこの場合ΔEc、ΔEv共に比較的小さい。
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Strategy for Future Research Activity |
大きいΔEc、ΔEvを持つ超格子太陽電池材料について研究を進める。まずカルコパイライト系材料であるCuInSe2/CuGaSe2について研究を進める。この材料はΔEvは小さいがΔEcは極めて大きく、大きな効果が期待できる。最終的には大きなΔEc、ΔEvをもつSi/SiO2系にチャレンジする。この場合Si:1.7nm、SiO2:1nmの構造では実効的なバンドギャップは1.5eVになり、太陽光スペクトルとのマッチングも大幅に改善される。具体的な成長法としては分子線エピタキシャル成長法を用い、高温分視線セルを用いて成長を行う。
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Research Products
(16 results)