2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピコリットル液量制御30GHz帯域MEMS可変キャパシタの研究
Project/Area Number |
23360165
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 健一郎 立命館大学, 理工学部, 教授 (70388122)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 先端機能デバイス / 無線通信 / 流体制御 / エレクトロウェッティング |
Research Abstract |
本研究は、広帯域可変RF-MEMSフィルタに純水を用いて誘電率を80倍も可変できる新たな原理による斬新な機構を研究・開発することを目標にしている。特に大幅な周波数可変を実現するために、ピコリットルの水の蒸発を抑え、これを制御する流路や制御システムを理論的に明らかにし、MEMS(Microelectromechanical Systems)技術を利用したデバイスの構築を実現する点を独創的な特徴とするものである。GHz帯のフィルタに応用するためには10μm狭ギャップにおける液滴搬送を実現することが必要であるが、従来の技術では50μmギャップでの液滴搬送が最小であった。 このため、GHzフィルタに適用可能なEWOD液滴搬送を利用した流体可変MEMSキャパシタの実現を目指して、狭ギャップ流路での液滴の連続駆動評価のための実験を行った。まず、ギャップを狭くするに従って、液滴の駆動電圧が上昇して絶縁膜の耐電圧を超えることを明らかにした。次に、液滴の駆動電圧を低減させるために、1)絶縁膜の種類、2)液滴寸法、3)電極間隔の形状、4)駆動電圧パターン、に関して、2電極間での液滴の駆動電圧の測定を行った。その結果、デバイスの絶縁膜にはフォトレジストが適切であること、液滴サイズが微小になるに従って駆動電圧が低減すること、電極間隔は櫛歯形状にして液滴と電極との重なりを増大させること、そして、矩形波パターンの電圧を印加すること、が適切であることが実験より明らかになった。今回、これらの結果を用いて、20μmギャップのclosed channel流路間で液滴を連続的に駆動させることに初めて成功した。また、狭ギャップ流路内の摩擦力を考慮した理論モデルを構築したところ、実験データとほぼよく一致していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では50μmギャップでの流体移動を達成することがH23年度の目標であった。この目標に対して、構造及び材料の最適化によって20μm狭ギャップでの液滴搬送に成功することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、目標とする10・m以下のギャップをもつclosed channel流路間で液滴を連続的に駆動させるために、以下の二つのアプローチを用いて駆動電圧のさらなる低電圧化を進める。 1)駆動電極の構造と印加電圧の最適化 2)液体の伸長変化による復元力を利用した液滴搬送 また、表面張力理論に基づく液滴の動的力学の構築を目指す。
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Research Products
(6 results)