2011 Fiscal Year Annual Research Report
地上ディジタルテレビ放送波の見通し外オーバーリーチ干渉特性の研究
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23360174
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
吉田 彰顕 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (50316139)
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Keywords | 地上テレビ放送 / オーバーリーチ干渉 / ダクト伝搬 / UHF帯 / VHF帯 / FM放送 / 見通し外 / 電波屈折率 |
Research Abstract |
平成23年度は,広島市立大学および広島大学(盆地)に電波観測系に設置し,複数箇所での観測を開始した。広島圏内と同じ周波数で送信されている隣接の岡山県,山口県,大分県からのUHF帯地上波ディジタルテレビ放送波およびVHF帯FM放送波の同時観測を可能にした。観測期間中,FM放送波の受信レベル上昇時には地上ディジタルテレビ放送波の受信レベルも上昇することを確認した。受信レベル上昇の要因について検討し,大気屈折率に起因して形成されたダクトによるものであることを明らかにした。 また,見通し外オーバーリーチ伝搬特性について,電離層の影響を評価するため,MF帯ラジオ放送およびLF帯電波時計標準電波の観測系を広島市立大学および,オーロラの発生頻度の高い北極圏のキルナに構築しグローバルな観測を可能にした。広島市立大学およびキルナにおける観測の結果,MF帯およびLF帯の受信レベル変動は,日の出・日の入りの時刻と相関が高いことを確認した。また,キルナにおける観測では,太陽フレア発生の数日後,深夜においても受信レベルが減少する現象を観測し,太陽活動との相関が高いことを確認した。 さらに平成23年度は,観測系による観測データの評価のみならず,電波の伝搬経路をコンピュータ上でシミュレーションできるよう,レートレース法を開発し実装した。気象台から公表される高層気象データから大気の電波屈折率を求め,レートレース法により,電波伝搬経路が推定できることを確認した。また得られた研究成果は国際会議にて速報するとともに,学術論文誌にも投稿し採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築した観測系はすべて安定に連続観測を継続できている。また観測系を設置した周辺の人工ノイズの影響を受けることなく,観測対象の電波を精度よく計測できている。観測データを検証するため,コンピュータ上にレイトレース法を実装し,電波伝搬経路が推定できることを確認した。得られた研究成果は国際会議にて速報し,専門家の間で高い評価を得ることができた。また学術論文誌にも投稿し採録された。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度構築した観測系はすべて安定に連続観測を継続できており,引き続き伝搬特性の観測を継続し,RSSIによる受信レベル特性およびBERによる伝送品質特性を評価する。また,盆地(広島大学)とは異なる伝搬特性が期待される山岳部および海岸部に新たに観測系を構築し,異なる伝搬プロフィールにおける,地上波ディジタルテレビ放送波の見通し外オーバーリーチ干渉特性の観測を開始する。また観測データのみならずレートレース法によるオーバーリーチ干渉評価を加える予定である。
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Research Products
(6 results)