2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲル分離と誘電泳動を利用した半導体カーボンナノチューブの選択的集積とセンサー応用
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23360180
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末廣 純也 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (70206382)
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Keywords | 誘電泳動 / スピンカラムクロマトグラフィ / カーボンナノチューブ / 半金分離 / ガスセンサ / カイラリティ / 界面活性剤 |
Research Abstract |
本研究課題では、研究代表者(末廣)が世界に先駆けて開発した誘電泳動集積法によるカーボンナノチューブセンサの作製技術に半導体カーボンナノチューブの分離濃縮技術を組み合わせることによって、従来よりも高感度・高機能なセンサを作製する技術を確立することを目的として計画されたものである。 初年度にあたる平成23年度に得られた主な成果は以下の通りである。 1.スピンカラムクロマトグラフィ法によって単層CNTから半導体CNTを分離・濃縮し、CNTガスセンサの特性を調査した。得られた懸濁液の吸光度測定から半導体CNTの分離・濃縮効果を確認した。また、分離後の半導体CNTを用いてガスセンサを作製し、分離前に比べて感度を最大で約10倍に上昇させることができた。 2.前述の濃縮によって半導体CNTのカイラリティ単一化が起こっていたため、半導体CNTのカイラリティ分離を行い、CNTガスセンサの特性を調査した。カラムの段数を数種類に分けることで、大まかなカイラリティ分離に成功した。そしてそれぞれのフラクション毎にガスセンサを作製し、それぞれ異なる応答を示した。これは、カイラリティ毎に二酸化窒素に対する応答が異なる可能性を示唆する結果である。 3.半導体CNTの分離やCNTの水溶化には界面活性剤を使用する必要があり、この界面活性剤の存在がガスの応答を妨げていた。そのため、分離後の半導体CNTの界面活性剤を除去し、CNTガスセンサの高感度化を目指した。その結果、界面活性剤を除去することによりCNTガスセンサの感度を向上させることに成功した。しかし、界面活性剤を除去することで水溶化が困難になり、CNTガスセンサを作製する際に再現性が低下するという問題が明らかになった。今後はこの再現性向上について検討を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初に目標としていた半導体カーボンナノチューブの分離濃縮に加え、更にカイラリティに基づく分離の必要性と方法を見出し、カーボンナノチューブガスセンサの大幅な感度向上に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
カイラリティ分離の精度を向上させると共に、ガスセンサ感度に最も寄与するカイラリティの同定とその分離濃縮技術を開発する。
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Research Products
(6 results)