2011 Fiscal Year Annual Research Report
鋼橋の合理的な腐食対策のための新しい風洞実験方法と飛来塩分シミュレーション
Project/Area Number |
23360198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Structural engineering/Earthquake engineering/Maintenance management engineering
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野村 卓史 日本大学, 理工学部, 教授 (50126281)
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Keywords | 飛来塩分 / 鋼橋の腐食 / 可視化実験 / 風洞実験 / 画像処理 / 濃度分布 |
Research Abstract |
飛来塩分による鋼橋の腐食度は部位によって異なるが,本研究は,飛来塩分の濃度分布が橋桁の部位によって異なる度合いを合理的に評価するための数値流体解析による高精度な飛来塩分シミュレーション法を開発することを目的としており,解析法を開発・検証するための気流と濃度分布に関するデータを独自の風洞実験法によって獲得しようとするところに特色がある。 研究計画の初年度に当たる本年度は,その独自の風洞実験法である「流れの可視化実験と画像処理による拡散係数の評価」に取り組んだ。この実験は,煙発生器で発生させた煙をレーザーで照射して可視化し,側面からハイスピードカメラで撮影し,撮影した1フレームごとの画像を構成するピクセルごとの濃淡を数値情報として処理して煙の濃度分布を空間的かつ時間的に数値化するところに特色がある。この実験方法に関する本年度の成果は以下のとおりである。 (1)風洞に流入させる煙の濃度分布の濃度と均一性を高めるため発生させた煙をためるチャンバーを製作し,有効であることを確認した。 (2)レーザーの照射が放射状であることに起因する画像輝度分布の補正法を考案し,これを施すことにより画像全体が一様な明るさを有する画像を得ることができるようになった。 (3)実際の塩分飛来が定常的ではなく間欠的であることから,煙を発生させる時間を短時間(5秒間)に限定し,その間の各ピクセルの輝度の累積値を算出することにより濃度分布を有効に評価できるようにした。 これらの方法により,正方形角柱および2主桁橋断面の試験体まわりの煙の濃度分布累積値の分析を実施し,断面の部位による累積濃度の違いを本手法により評価できることを確認した。実験成果を反映させる数値解析については,基本となる正方形角柱まわりの移流拡散解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目の「流れの可視化実験と画像処理」について,当初は正方形角柱実験までを想定していたが,実験方法に関する工夫が順調に進み橋梁断面模型の実験も行うことができ,断面部位による濃度分布の違いを検討することができた。その一方で数値解析に直結する「拡散係数の評価」に関してはやや遅れているが,基本的な数値解析に着手しており,総合しておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,煙の濃度分布と物体表面に付着する分布との関連を明らかにするために,当初の研究計画にしたがって表面付着濃度分布を評価する実験を実施する。また平成23年度の風洞実験で獲得した濃度分布および累積濃度分布に関するデータを用いて,数値流体解析および移流拡散解析を実施して,実験結果を評価し得る解析モデルの構築をめざす。
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Research Products
(2 results)