2013 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動に伴う積雪寒冷地の新しい地盤災害形態の体系化とその危険性評価に関する研究
Project/Area Number |
23360201
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 達也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60359479)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 聡 北見工業大学, 工学部, 教授 (00174673)
川端 伸一郎 北海道科学大学, 空間創造学部, 教授 (10224833)
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20310964)
所 哲也 苫小牧工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (40610457)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 地盤工学 / 土砂災害 / 気候変動 / 防災 / 積雪寒冷地 |
Research Abstract |
1.材料特性変化に及ぼす凍結融解・水流の影響評価: 凍結融解一面せん断試験結果から、凍結融解により生じる強度定数の低下は主として浸水作用によるものであるが、凍結融解によるダイレイタンシー特性の変化が剛性低下を引き起こすことを明らかにした。また、熱伝導率試験と電気伝導率試験を実施し、熱伝導率の水分依存性は間隙水の連続性によるものであることを明らかにした。加えて、凍上試験と保水性試験を実施し、サクションを考慮した修正高志の式を提案し、表層地盤のような低土被り圧下における凍上量予測に対して、提案式が従来式よりも有用であることを明らかにした。 2.力学挙動変化に及ぼす凍結融解・水流の影響評価: 砂質土模型地盤の流水浸透侵食実験を実施し、凍結融解作用により地盤内に凍土が形成された後に流水した場合、凍土により地盤の透水性は低下するが、凍結融解中に流水がある場合には、凍土の形成が遅くなるとともに未凍結部の浸透流速が上昇することを示した。 3.土構造物の凍結融解・流水侵食複合型崩壊モデルの提案: 連成解析プログラムにより土の凍上試験の試解析を種々の解析条件下で実施し、凍結融解作用を受ける土の特徴的な挙動を表現可能であることを示した。また、積雪寒冷地で観測される地盤の凍結・凍上融解に起因する種々の地盤災害現象を対象にした数値シミュレーションを実施し、実問題と同様に地下水位が凍上量に影響を与えることなどを確認して、当該解析法が地盤の凍結・凍上融解現象の挙動解析に対して高い適用性を有することを明らかにした。 4.気候変動予測手法と地盤情報活用方法の検討: 凍結融解・流水に起因する地盤災害データの収集・被災要因分析を継続し、地盤災害と気象・地形・地盤条件との相関性について検討した。また、本研究内容と合致した学会の研究委員会の設立準備を行い、より詳細かつ多量のデータ収集が可能となる仕組みを創設した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に記載した本年度の研究実施計画のすべての項目について検討を実施しており、本実績報告書で記載したように、各項目について、交付申請時に記載した研究目的の達成に結びつくような具体的な研究成果があがっていることから、「おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究目標達成には、実験、解析、データ分析等の各側面から包括的な検討を行う必要がある。このため、本研究では、研究開発の効率性の観点から各研究者が個別に保有する研究開発力を総合して課題解決にあたっている。ただし、研究機関が複数あり、また研究期間も長期に渡ることから、各研究項目間の連携性の向上と研究内容の調整のため、情報交換と研究成果の共有などを目的とした研究の進捗状況報告会を、今年度同様、今後も年度内に数回定期的に開催しながら、本研究を推進する。
|
Research Products
(20 results)