2011 Fiscal Year Annual Research Report
津波の押し波・引き波による地盤の不安定化と海洋構造物被災のメカニズム解明と対策
Project/Area Number |
23360203
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 健一 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (50271648)
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Keywords | 津波 / 浸透破壊 / 支持力 / 遠心力載荷模型実験 / 連成解析 / 粒子法 / 衝撃力 / 洗掘 |
Research Abstract |
1)模型実験手法の開発と津波に起因した海洋構造物の被災メカニズム解明 東洋建設・鳴尾研究所が保有するドラム型遠心力載荷装置(最大加速度440G、最大搭:載可能重量3.7t)による遠心模型実験を行った,津波が作用する防波堤の運動や捨石マウンドおよび海底地盤の浸透破壊や噴出の現象などを可視化,津波の波高や速度の空間分布とその時間変化,防波堤に作用する津波波圧や流速、捨石マウンドおよび海底地盤内の土圧、間隙水圧などの応力状態や変形を計測することに成功した. 東日本大震災の被災事例の分析結果を受けて,掃流や越流による洗掘現象についても実験を行った. これらの結果から,水理学的な掃流力による洗掘だけでなく,水流によるせん断,衝撃力により地盤内の間隙水圧が液状化のように上昇し,洗掘を助長することがわかった. (2)事例・資料の収集・分析 東日本大震災の被害調査を3回行った。被害情報を収集し,被害形態の詳細について調査した.調査結果と現行の設計マニュアルによる検討を行った結果,被害は波力による構造物の活動,転倒だけでなく,構造物を支える地盤の浸透による支持力低下が原因の可能性があることがわかった. (3)数値シミュレーション手法の開発と津波に起因した海洋構造物の被災メカニズム解明 粒子法のひとつで、メッシュフリー法であるSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法を用いて,津波・海岸構造物・海底地盤の相互作用に着目した変形メカニズムが解明できる解析手法の開発を行った.本解析は,物理量をもった土,水の塊(粒子素片)を最小単位としており,連続体解析であるがメッシュは連結されていないので流動変形,接触,剥離ある相の中を他の相が移動するといった現象の表現に成功した.験結果と比較を行い,解析手法の精度の検証を行った.また,三次元への拡張を行った.さらに,細粒分流出を伴う内部浸食による土の粒度変化を考慮したモデルを拡張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災を発生し,未曽有の津波被害となった.当初の予定に比べて,事例調査と分析に重点をおいた.また,調査結果を受けて,地盤内部の見える化するトモグラフィー開発のスケジュールと洗掘の実験・分析の実行の順番を入れ替えた.
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Strategy for Future Research Activity |
防波堤を対象とした耐津波について浸透問題や支持力破壊等の地盤工学的問題について検討してきた内容を踏まえて,さらに以下の点について,検討を進める.a)海岸構造物に対する現行の設計を援用した検討の提案,b)海岸構造物の津波外力に対する検討,c)海岸構造物の地震-津波による多重外力に対する検討,d)今後考慮すべき,流体-地盤の連成作用の新しい課題.次にように研究を進める. (1)三次元効果を考慮した被災メカニズムの解明:地盤内の間隙水圧比や変形,密度変化についても計測し,地盤の不安定化現象における三次元効果を明らかにする. (2)複合災害メカニズムの解明:地震による液状化被害と津波被害との相互作用関係を明確にする. (3)事例解析は・調査事例の解析および解析モデルの拡張 (4)津波対策:津波,地盤,構造物の相互作用を考慮した設計について考える.大津波作用時でも大破せず,円滑に津波衝撃力を回避できる海岸構造形態の提案を目指す。
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Research Products
(16 results)