2012 Fiscal Year Annual Research Report
河口海岸域における洪水堆積物の再配分と砂浜地形の形成・涵養過程
Project/Area Number |
23360205
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
関口 秀雄 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20027296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 秀夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (30140312)
東 良慶 京都大学, 防災研究所, 助教 (50464201)
細山田 得三 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70262475)
原口 強 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372852)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国土保全 / 自然災害 / 海岸侵食 / 漂砂環境 / 洪水堆積物 |
Research Abstract |
本年度の研究では、洪水イベントの影響を織り込んだ100年スケールの海岸堆積環境の評価に資するために、海浜堆積物および海底堆積物の堆積相解析を進めるとともに、放射性物質をトレーサとする漂砂過程把握の基礎を重点的に調べた。具体的な研究実績は以下のようである。 1) 海底堆積物の主要元素分析と堆積速度の評価; 昨年度に採取した3本の柱状堆積物コア(水深30m、20m、15m)の化学分析を進めた。特筆すべき成果は、それぞれのコア表層部に2011年7月新潟福島豪雨による洪水堆積物が沈積していること、そして2011年3月福島第一原発事故由来のセシウム134とセシウム137を含有していることを明らかにしたことである。これら放射性核種は漂砂のトレーサとしても、重要な役割を果たすものである。 2) 海岸基盤構造の把握と堆積相解析; 大河津分水通水以前の原地形を把握するために、野積海岸において連続柱状ボーリングコアを2箇所で採取した。その結果、沿岸砂州のトラフに沈積し地層に保存されたと推定される洪水堆積物を検出することができた。 3) 広域海底地形の把握; 寺泊野積海岸における海底地形の現況を把握するために、海上音波探査を実施した(延長約70km)。 4) 河川流出土砂量の推定; 浮遊砂流出式に基づいて過去50年間における海域への河川流出土砂量の変遷の見積を行った。 5) 研究成果を第6回国際洗掘侵食会議および第57回水工学講演会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究目的を達成するに十分な研究成果を積み上げてきた。実のところ、当初目的を超え得る新たな展望も得られている。その大きな理由は、2011年3月福島第一原発由来のセシウム134とセシウム137を含む海底連続柱状コアを採取し、詳しい化学分析データを積み上げてきたことによる。これら放射性核種の移行過程の追跡は、それ自体で海洋環境学の重要テーマになり得るが、従来にない高解像度の漂砂過程の把握を可能とする意味で、本研究の学術意義を格段に増すものと理解している。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年7月新潟福島豪雨イベントにともなう沖浜の洪水堆積物に対して、その分散、移行、保存過程を詳しく調べるために、今夏に再びバイブロコア・サンプリングを行い、詳細な堆積相解析と化学分析を行う予定である。合わせて、漂砂セルの堆積物収支における沖浜流出の寄与を定量的に評価する計画である。 汀線地形の涵養には、河口テラス域における粗粒堆積物の貯留およぶ分配過程が重要な働きをしていると認識している。これらのプロセスは、季節変動および年変動を示すことから、その実態把握は、従来、容易ではなかった。本年度の研究では、機動的な多周波音波探査法の導入を図ることにより、河口テラスー河道系貯留の実態解明の突破口を切り拓く予定である。
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Research Products
(5 results)