2012 Fiscal Year Annual Research Report
間隙内二液反応発泡による新しい油汚染地盤浄化技術の開発
Project/Area Number |
23360206
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
棚橋 秀行 大同大学, 工学部, 教授 (00283234)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 土壌汚染浄化 / 環境技術 / 地盤工学 / 土壌圏現象 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで 困難であった機械油汚染地盤の非掘削浄化に対し、浄化液A(重曹・界面活性剤水溶液)と浄化液B(酢酸・界面活性剤水溶液)を汚染地盤内に浸透させたのち発泡反応を起こすことで、小間隙内にトラップされた機械油を乳化し、大間隙へと誘導して回収する「間隙内二液反応発泡法」を考案した。この「間隙内二液反応発泡法」の物理・化学的メカニズムを定量的に把握するため、室内土槽に模擬油汚染地盤を作成し全体的な浄化の進行状況を観察するのに加え、間隙内発泡メカニズムの把握や油の残留量の分析など基礎的な実験・測定を行うことを目的とする。平成23年度に実施した土槽実験から、計画通り浄化効果についての検討を行った。しかしながら問題が浮かび上がってきた。主なものの1つめが浄化ムラであり、もう一つは水平方向への浄化液浸透の均一性の確保である。これらは意味通底した問題であるともいえる。そこで水平方向に上流から下流へといったこれまでの浄化の流れ場ではなく、鉛直流れ場においてある中心点からある半径の範囲をいかにムラなく浄化できるかについて予備実験を行ったところ、今後の可能性を示唆する結果と有益な知見が得られた。平成24年度は鉛直流れ場においてある中心点からある半径の範囲をいかにムラなく浄化できるかについての土槽実験を行った。その結果、地盤内に鉛直にノズルを3つ埋設し、最上部から重曹添加界面活性剤を、中央の汚染部分から酢酸添加界面活性剤を圧入し発泡により浄化範囲が広がったのち最下部より吸引回収する方法がもっともムラなく浄化できることが確認できた。今後はこの基本技術に、①薬液注入によって流れ場を制御し時間的に効率を高めること、②微生物の添加により微細な浄化ムラをなくし到達浄化率を高めること、の工程を付加することで時間効率・到達浄化率をさらに高めて行きたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浄化ムラをいかに低減するかという新たに浮上した着眼点を掘り下げたことで今後応用できる技術的成果が得られた。非掘削浄化過程において薬液注入による地盤改良体を応用することによる流れ場の制御、そして界面活性剤中でも活動可能な油分分解菌を添加して浸透させる方法である。これらに「間隙内二液反応発泡法」を組み合わせることで、研究の最終成果として当初計画よりもよい浄化方法が見いだせるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
汚染現場におけるさまざまな地層構造・制約条件に対して浄化ムラを低減させるため、現時点で最も効果的と思われる浄化プロセスは次の通りである。 ①薬液注入による地盤改良体を汚染部位の周りに面状に作成し、特に上部は逆V字型に傾斜をつけることで汚染油が収集しやすいようにする。②「間隙内二液反応発泡法」を組み合わせた界面活性剤浸透により乳化した油分を①の上部逆V字型改良体下面に沿って移動させ回収する。その後、③界面活性剤中でも活動可能な油分分解菌を添加して浸透させ、ここまでの工程でムラになってしまった界面活性剤の流れにくい部分の残留油分を分解する。 おおよそこのような浄化プロセスについての土槽浄化実験をさまざまな土試料・流れ場(模擬障害物など)について実施し、「間隙内二液反応発泡法」のみで考えていた当初の計画よりも効率のよい浄化方法を最終成果として見いだしたいと考えている。
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