2011 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域の社会基盤施設を対象とした微生物による維持管理・更新技術に関する研究
Project/Area Number |
23360207
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
畠 俊郎 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (30435424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 了 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00304022)
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Keywords | 地盤工学 / 環境技術 / 国土整備 / 応用微生物 |
Research Abstract |
本研究では,沿岸域の社会基盤施設を対象とした微生物機能の活用による維持管理・更新技術について検討を進めている.陸域で単離されたBacillus pasteuriiについては炭酸カルシウム析出促進・固化効果が明らかとなっているが,海域由来の微生物については未解明な点が多い. そこで,海域で単離されたウレアーゼ産出能を持つSporosarcina aquimarinaと,天然プロセスでの海砂の固化効果が明らかとなっている石川県曽々木海岸周辺地から新たに単離したAcinetobacter sp.との比較試験を行いその適用評価を行った. 遺伝子解析結果から,石川県曽々木海岸で単離したAcinetobacter sp.についてバイオセーフティレベル(BSL)2の可能性が示されたため,安全キャビネット内で尿素の加水分解速度の比較試験を実施した.その結果,尿素の加水分解速度はB.pasteuriiと比較して1/40,S.aquimarinaと比較して1/10であることが明らかとなった.次に,安全キャビネット内で曽々木海岸にて採取した海砂を用いた10mL容量の固化試験を行った.その結果,すべての菌体で炭酸カルシウムの析出効果を確認することができた,これら微生物機能による固化効果を力学試験により定量的に評価するため,直径5cm,高さ9cmの供試体を作成した.なお,供試体の作成は20℃の恒温室内で実施するためBSLが1であるとともに海域から単離されたS.aquimarinaを用いることとした.固化後の供試体を用いた3軸圧縮試験(CD試験)の結果から,2週間程度の固化期間で600kN/m^2までの強度増加を確認することができた.固化速度は尿素の加水分解速度と高い関連性を持つことが明らかとなっており,曽々木海岸で新たに単離した微生物を用いた場合においても半年程度で十分な固化効果が期待できることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本海側の海岸2か所で採取した海砂を対象とした室内試験から,ウレアーゼ産出微生物,尿素および塩化カルシウムを添加することで人工海水条件下でも固化効果を明らかにすることができた.あわせて,天然プロセスでの海砂の固化が認められているビーチロック生成箇所から新たにウレアーゼ産出微生物を単離することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
ウレアーゼ産出能を持つ微生物の機能を活用することで短期間に海砂の固化効果を得る効果を確認できた.しかしながら,強度増進効果や炭酸カルシウムの析出速度は微生物種に大きく依存することも明らかとなったためビーチロック生成箇所を中心に海域由来のウレアーゼ活性を有する微生物のスクリーニングについても検討を進めていく計画である. あわせて,既存社会基盤施設の自己修復効果についても暴露試験などを通じて実施していきたい.
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Research Products
(6 results)