2012 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域の社会基盤施設を対象とした微生物による維持管理・更新技術に関する研究
Project/Area Number |
23360207
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
畠 俊郎 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (30435424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 了 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00304022)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地盤固化 / 微生物触媒 / ウレアーゼ / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
天然プロセスにより砂浜の砂が固化するビーチロックに着目し,国内3か所において現地調査および関与する微生物の特定に関する室内試験を実施した.具体的には,沖縄県名護市,長崎県長崎市および石川県輪島市を調査サイトとして選定した.沖縄県,石川県についてはビーチロック,海水の採取を行い,長崎県については現地にてポータブルXRFによる元素測定と海水の採取を行った. 沖縄県については海砂,ビーチロックともにカルシウムが主成分であることが明らかになるとともに,長崎県と石川県を比較した場合,長崎においてはカルシウム,石川においてはシリカの比率が高いことが明らかとなった. 室内試験にてウレアーゼ活性を持つ微生物に関するスクリーニングを行ったところ,沖縄>長崎>石川の順でウレアーゼ活性を有する菌数に差があることが明らかとなった.沖縄について単離を行い,遺伝子解析を行ったところLysinibacillus属であるとともに,バイオセーフティレベルが1であることの結果が得られた. この沖縄由来のウレアーゼ活性を持つ微生物の酵素活性を求めたところ,陸域において検討が進められているB.pasteuriiと比較して1/8程度にとどまることが明らかとなった.そこで,固化溶液中に含まれる尿素および塩化カルシウム量を0.05mol/Lとして固化実験を行ったところ,部分的ではあるが固化効果を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内においてビーチロックが確認されている場所での現地調査を実施し,本研究において着目しているウレアーゼ活性を有する微生物が長崎以西でビーチロック形成に関与している可能性を明らかにすることができた.一方,石川県では炭酸カルシウムの関与は若干期待できるものの主たるセメント物質はシリカ・アルミナ系であることが明らかとなった. 以上の結果は,ビーチロック形成に関与する微生物が水温などの影響を受け地域性を持つ可能性を表していると考えている. 社会基盤施設の維持管理に関しては,現地の特性を可能な限り活用することが重要であると考えられるため,現地にすでに生息しているウレアーゼ活性を有する微生物数が少ない場合においても栄養塩類の濃度や,pH,ORP等を適切に制御することで短期間にビーチロック類似物を生成させる技術についても取り組んでいきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
長崎以西では現地にすでに生息しているウレアーゼ活性を有する微生物を活用することにより炭酸カルシウムの析出を促進させることが可能であることを明らかにすることができた.今後は,対象地の地盤環境をいかに早くビーチロック類似物生成に適した条件とするかについて室内試験により検討を進めていく計画である. また尿素の加水分解速度によって強度増進効果に差があることが明らかになっている.そのため,尿素の加水分解速度の異なる微生物を使った固化実験を実施し,炭酸カルシウムの析出量,尿素の加水分解速度と強度増進メカニズムの関連性を明らかにしていきたい.
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Research Products
(7 results)