2011 Fiscal Year Annual Research Report
水路網を伴う河口デルタの形成と干潟の維持メカニズム
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23360209
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
泉 典洋 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10260530)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 康行 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20261331)
渡邊 康玄 北見工業大学, 工学部, 教授 (00344424)
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| Keywords | 水路網 / 河口デルタ / 潮汐 / 感潮湿原 / Horton則 / 線形安定解析 |
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| Research Abstract |
一方向流れによる水路網の形成機構を明らかにするため,水深に対し極めて幅の広い水路を用いて水理実験を実施した.その結果,水深が浅い場合通水初期に浮き州が形成され,一つの蛇行流路と複数の直線的な水路が共存する流路形状を示したのに対し,水深が深い場合には多列砂州から横断方向波数の減少が生じ,最終的に2列砂州上の地形が形成されることが明らかとなった.また,水路床の横断方向の安定解析を実施し,このように異なる現象が生じる可能性についても確認を行った.以上の結果から,流路網は初期水深が大きな支配バラメータとなる可能性を示した.
河口デルタの形成過程における潮汐の影響を調べるため,河床材料として比重が1.4のプラスチック粒子を用いた実験を行った.幅5メートルのタンクに1/10の勾配の斜面を形成し,潮汐を発生させると同時に斜面上流から土砂と水を供給することで,デルタを形成させた.実験によると潮汐の影響が全くない場合,河道前面に生じる土砂堆積によって河道の首振り運動が生じて円弧状デルタが形成されたのに対して,潮汐の影響が大きくなると,潮汐によって河道前面の土砂が岸沖方向に輸送されることによって首振り運動が抑制されること,潮汐によって沿岸方向の土砂輸送が生じ堆積が円弧状となることが明らかとなった.
感潮湿原に形成される水路網形状の定量的評価及びそれに対する支配パラメータの抽出に不可欠である水路網形状の定量評価法について,陸域の河道網の定量化手法であるHorton則を用いて検討を行った.これを予備実験で得られた水路網及び現地スケールの水路網に適用することで,1)各位数の持つ水路長確率密度分布が対数正規分布的となること,2)潮汐波形の相違により水路網の水路長分布に有意な影響を与えること,3)空間スケールが変化しても各位相の水路長がもつ統計的性質は変化しないことが明らかになった.
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一方向流かつ掃流砂が卓越する状況下における水路網形成機構に関する重要な知見が実験と解析から得られると同時に,潮汐が河口デルタの形成に及ぼす影響について基本的な知見が実験から明らかとなった.さらに,水路における水路網発達過程及び水路網形状の定量評価についての検討を行うことができ,その成果が学術誌に掲載されていることから研究は順調に推移していると考える.
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| Strategy for Future Research Activity |
昨年度行った実験を下に浮遊砂および潮汐流による河口デルタおよび水路網の形成機構に関する実験を行うと同時に,線形安定解析を用いた理論解析を進める.昨年度行った予備実験及び水路網の定量評価法を下に室内実験を実施し,感潮湿原に形成される水路網の形成・発達に対する支配的な物理パラメータの抽出を行い,数値シミュレーションモデルの高度化を図る.
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