2011 Fiscal Year Annual Research Report
河道内樹林の消長機構に関する水理・生態学的解析と持続的河川管理に向けた戦略研究
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23360212
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
道奥 康治 神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40127303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 仁志 神戸大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50283867)
前野 詩朗 岡山大学, 環境学研究科, 教授 (20157150)
神田 佳一 明石工業高等専門学校, 教授 (60214722)
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Keywords | 河道内樹林 / 洪水流 / 樹木生態 / 流量確率 / 平面二次元流 / H-ADCP / 河道地形 / 現地観測 |
Research Abstract |
樹木の流水抵抗を考慮した横断面一次元モデルを用いて樹木に作用する倒伏モーメントの経年変化を解析し,加古川における樹林化要因を明らかにした.[河川整備,樹木管理]の適切な組み合わせにより流水撹乱頻度を増加させ,省力的に河道内樹木を管理する方法を検討した.樹木冠水状態を再現できる二次元二層流モデルを用いた流れの解析により,2009~2011年に加古川で発生した出水を再現しH-ADCPによる流速観測値や倒伏樹木実績と比較・考察した.流量の確率特性と樹木の生態特性を考慮した樹木消長モデルを構築し,加古川の樹林化が進行する箇所と樹林化が抑制されている箇所を判別解析を実施した.樹木消長モデルは,河道内樹林の経年変化を的確に再現し,水理解析とカップリングすることによって,樹林化の要因と抑制対策に資する実用的知見を提供している.樹林消長モデルに基づいて[流量,樹径(樹高),密生度]の同時生起確率を求め,これに二次元二層流モデルを適用することによって,樹木倒伏率の期待値を推定することに成功した.この手法を用いれば,高水敷の切り下げが樹木倒伏促進にどの程度寄与するかを定量的に評価することができる.さらに,限定された研究期間では多様な水理条件の洪水流を現地観測だけで確認することは困難であるため,樹林の冠水・非冠水など広汎な水理条件の流れを開水路実験で再現した.今後,二次元二層流解析との比較検証を経て,樹林が冠水する条件での流体解析精度を高める.河川敷における樹木一本一本の地道な調査とともに洪水現象を的確・精密に再現するための水理学モデルを組み合わせて実施した.今年度の研究は学術性に加えて河川管理上の技術課題にも視点をおいて,国土交通省の現場担当者との度重なる打合せのもとで進められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
洪水流解析ならびに樹木消長モデルのいずれも当初計画以上の完成度を得て,実際の流れや樹林特性の制限に成功している.現地の樹木調査も順調に推移し,データベースが充実してきた.過年度の成果も若干含みながら本年度新たに得られた知見を加えて発表した土木学会年次学術講演会では学生が優秀研究発表賞を当該学生が受賞した.
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Strategy for Future Research Activity |
備品で購入した模型ヘリコプターFalconの納品が年度後半となったため,上空からの樹木観測が十分に進捗していない.操縦もおおよそ習熟し,リモートセンシングデータを用いた樹林の空間情報を充実させて,流れの解析や樹林生態特性の解析を展開する予定である.また,開水路で実施した樹林河道の流れに関する実験結果を再現するために二次元二層流解析を実施し,再現精度を向上させる.河川管理者との密接な連携により,出水時の観測を進め,流れや樹林倒伏の現地観測データを積み重ねる予定である。
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Research Products
(8 results)