2011 Fiscal Year Annual Research Report
亜ヒ酸酸化細菌を用いた地下水からの新規ヒ素除去装置の開発
Project/Area Number |
23360230
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
海田 輝之 岩手大学, 工学部, 教授 (30117072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 歩 岩手大学, 工学研究科, 准教授 (90312511)
石川 奈緒 岩手大学, 工学部, 助教 (10574121)
中村 寛治 東北学院大学, 工学部, 教授 (90382655)
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Keywords | 亜ヒ酸 / 地下水 / 生物学的酸化 / 亜ヒ酸酸化細菌 |
Research Abstract |
地下水に含まれる亜ヒ酸は、酸化剤を用いて亜ヒ酸をヒ酸に酸化後、鉄やアルミニウムの加水分解生成物との共沈によって除去されている。しかしながら、経済的に処理するためには薬品によらない手法の開発が望まれている。本研究は、独立栄養の亜ヒ酸酸化細菌を用いて亜ヒ酸をヒ酸に酸化するための装置の開発を主目的とする。 本年度は、ポリビニールアルコール製あるいはスポンジ製の担体に亜ヒ酸酸化細菌を担持し、連続的に亜ヒ酸をヒ酸に酸化出来るかを検討した。まず、円筒形の反応容器(内径4cm、長さ1m)に亜ヒ酸酸化細菌をポリビニールアルコール製の担体(直径約4mm)内部に担持し、下部から空気と模擬地下水を連続的に流入させた。流入亜ヒ酸濃度は1mg/Lとし、水理学的滞留時間を変化させた。その結果、担体内部に10^<11>cell以上保持でき、滞留時間が4時間以上であれば、亜ヒ酸を95%以上安定して酸化できることが分かった。さらに、流入亜ヒ酸濃度が5mg/Lでも95%程度の酸化率を得ることが出来、7日間程度流入を停止しても、曝気を行っていれば亜ヒ酸酸化能には影響しないことが分かった。また、この方法では酸素の供給と担体の浮遊のため曝気が必要であるが、さらに経済的手法を目指し、亜ヒ酸酸化細菌の付着担体として、円筒形のスポンジ(直径約3cm、長さ約3cm、空隙率約0.5)を用いた。このスポンジ27個を釣り糸でぶら下げ、上部から模擬地下水を自然流下で流して底部から流出させた。その結果、流入亜ヒ酸A濃度が1mg/Lのとき、滞留時間が0,7時間以上であれば95%以上連続的に酸化処理可能であり、スポンジ担体は流入部から10個程度までで十分に酸化が行われていることがわかった。これより、本装置により曝気を行わなくても亜ヒ酸酸化細菌をスポンジに固定することにより連続酸化処理が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年3月11日の震災の影響で、当初予定していた国交省管轄のダム湖の底泥及び仙台市管轄の浄化センターからの活性汚泥の採取が遅れたため、新規の亜ヒ酸酸化細菌の分離・同定が出来なかった。しかしながら、既に活性汚泥から分離同定して研究室で培養している亜ヒ酸酸化細菌をポリビニールアルコール製の単体やスポンジ担体に担持した連続酸化実験を行った。その結果、提案する装置によって滞留時間を1時間程度確保すれば連続的に亜ヒ酸をヒ酸に酸化できることを明らかにし、後に示すように論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
11で述べたように、当初予定していて出来なかったヒ素濃度が高いダム湖の底泥と高濃度のヒ素が流入する下水処理場の活性汚泥からの亜ヒ酸酸化細菌の分離・同定とその細菌の亜ヒ酸酸化速度に及ぼす亜ヒ酸濃度、pH、水温、有機物濃度、栄養塩濃度及び鉄(II)濃度の影響を回分実験により明らかにする。さらに、スポンジ担体を用いた亜ヒ酸の連続酸化に関しては、スポンジ数を増加させ、さらに滞留時間を短くした場合や流入亜ヒ酸濃度を0.5mg伍に低下した場合の亜ヒ酸酸化効率を検討する。
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Research Products
(3 results)