2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国における低炭素社会政策が大気環境改善にもたらす効果の定量的評価に関する研究
Project/Area Number |
23360232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Civil and environmental engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 譲 京都大学, 工学研究科, 教授 (90109033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 学児 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90283506)
河瀬 玲奈 京都大学, 工学研究科, 助教 (90378852)
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Keywords | 低炭素社会シナリオ / 都市大気汚染 / コ・ベネフィット / 施策ロードマップ |
Research Abstract |
本年度は,研究計画に沿って,以下の研究を実施した。 1)中国の33の省・直轄市を対象に,低炭素社会シナリオの構築を行った。多地域版スナップショットツールを用いて、各地域の特性ならびに地域間の交易を考慮し、地域間の整合性を保ちながら各地域の将来の低炭素社会ビジョンの下での環境負荷物質排出量及びCO2削減ポテンシャルを推計した。2030年の中国全土のCO2排出量がBaUケースに比べて対策ケースで26%削減できることが推計された。環境対策による削減効果としては、発電シェアの変化に伴って単位電力消費あたりのCO2排出量が大幅に減少したことによる削減効果が最も大きい事がわかった。 2)低炭素社会像を叙述的に記述するためのスナップショットッールおよび施策介入を制御変数として動的数理計画法により求解するバックキャスティングツールを中国の省・自治区・直轄市レベルの地域に適用するために必要な改良・拡張の基本設計を行った。特に,急激な経済成長によってダイナミックに変化する社会・経済状況や都市構造,公共交通を含めた交通インフラの変化などが反映されるようモデルの拡張を行った。 3)副次的効果としての都市大気汚染および室内汚染による健康影響の緩和効果を定量的に推計するための個人曝露推計モデルを構築し,中国の各省・直轄市レベルに適用して,特に道路交通と室内排出のPM2.5による個人曝露を推計した。道路交通起源の大気汚染物質の排出量の推計のために,省別の機関別交通需要用の推計や省内での各道路への交通量のダウンスケーリング手法などを開発した。また,室内汚染の影響を推計するために,調理や暖房などで使用される燃料種別や調理機器・暖房機器の種類,家屋構造による換気の強弱などを情報収集しモデルに適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の研究計画と若干の相違はあるものの,ほぼ研究計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度をほぼ研究計画通りに推進する事ができたため,次年度以降も当初の研究計画に従って推進する。国内では原発事故の影響でエネルギー供給シナリオの見直しが進んでいるが,世界シナリオにも影響や見直しがあれば,それらを反映させる必要がある。
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Research Products
(5 results)