2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国における低炭素社会政策が大気環境改善にもたらす効果の定量的評価に関する研究
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23360232
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 譲 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90109033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 学児 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90283506)
河瀬 玲奈 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90378852)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低炭素社会シナリオ / 都市大気汚染 / コ・ベネフィット / 施策ロードマップ |
Research Abstract |
本年度は,研究計画に沿って,以下の研究を実施した。 1) 昨年度の基本設計に引き続いて,低炭素社会シナリオ構築ツールの開発(多地域スナップショットツールおよびバックキャスティングツール)の拡張・開発を行った。また並行して,国レベルでの中・長期的な温室効果ガスの削減方策の定量的な検証を行うために応用一般均衡(CGE)モデルを用いた分析を行った。GDP当たりの一次エネルギー消費量の70%以上の低減や再生可能エネルギーの大幅な普及などで2050年に2005年比で40%以上のGHG削減が可能となることなどを明らかにした。 2) 副次的効果としての都市大気汚染および室内汚染による健康影響の緩和効果を定量的に推計するため,発電所・工場などの大規模点源と,道路からの自動車排ガスの発生量,家庭と中小規模の事業所からの面的な発生量の推計を行った。また,室内汚染の影響を推計するために,調理や暖房などで使用される燃料種別や調理機器・暖房機器の種類,家屋構造による換気の強弱などを情報収集して,家庭内での汚染物質の発生量を推計した。また,同時に調理時や暖房時の燃料使用(特に石炭・バイオマスなどの固形燃料)による室内汚染についても考慮した曝露評価および健康影響評価モデルを開発し,中国33地域を対象として現状の曝露影響の評価を行った。暖房で固形燃料を使用する中国東北部の省の農村部で深刻な健康影響の可能性があることが分かった。 3) 総合的な便益の評価のために不可欠な,大気汚染物質の越境長距離輸送の影響を評価するために,大陸間スケール三次元大気化学輸送モデル(~1000km)と都市スケール大気環境モデルを組み合わせて,長距離輸送による寄与を計算した。また,これらのモデル計算の結果を人工衛星からの微量大気汚染物質(NOx, CO, PM2.5)の鉛直カラム濃度と比較して,モデルの妥当性の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の研究計画と若干の相違はあるものの,ほぼ研究計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度をほぼ研究計画通りに推進する事ができたため,次年度以降も当初の研究計画に従って推進する。2013年に社会的な問題となっているPM2.5の越境汚染とも深く関係する研究課題であるため,これらの原因構造を昭からにする事も今後の研究の中で推進したい。
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Research Products
(9 results)