2012 Fiscal Year Annual Research Report
多次元入力地震動に対する免震建物の地震応答評価手法の開発
Project/Area Number |
23360237
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 優 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50344479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅史 株式会社竹中工務店 技術研究所, 地震工学部, 部長 (90416587)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 耐震 / 免震 / 積層ゴム / 地震動 / 地震応答 |
Research Abstract |
本研究の目的は、免震部材の多次元的力学挙動の解明と免震建物の地震時挙動評価手法の確立である。この目的に沿い、3年間の研究期間において①免震部材の多次元連成力学モデルの作成、②多次元地震動入力に対応した免震建物の地震応答解析システムの開発、③多次元入力地震動を考慮した免震構造の合理的設計法の構築を目指す。 平成24年度は免震部材の多次元連成力学モデルの開発、免震部材の多方向加力試験、多次元地震動入力に対応した免震建物の地震応答解析システムの開発の3項目を実施した。免震部材の多次元連成力学モデルの開発については、弾性すべり支承を対象に作用軸力と水平二方向変形の三成分の相互作用を表現できる三軸連成モデルを開発した。免震部材の多方向加力試験については、鉛プラグ入り積層ゴムと弾性すべり支承の2種類の免震部材を対象に水平二方向加力試験を実施しデータを収集した。鉛プラグ入り積層ゴムについては、開発モデルの妥当性を検証するための地震応答変位波形試験を実施した。弾性すべり支承については、地震応答変位波形入力試験に加え、変動軸力試験、インターバル加力試験、ねじれ加力試験を実施した。いずれの試験も平成23年度に新たに構築した試験装置を用い、詳細な変形・荷重データを取得した。平成23年度に米国UC Berkeleyの研究者より共同開発の提案があった構造解析プログラムOpenseesについては、本研究における免震建物の地震応答解析システムの開発と位置づけ、多次元連成力学モデルの組み込みを行った。なお、一連の研究成果は、平成24年9月にポルトガルで開催された第15回世界地震工学会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の発注、実施が予定通り進んだため
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成25年度は、免震建物の3 次元地震応答解析システムの開発と地震応答解析の実施、Openseesへの免震部材の多次元連成力学モデルの移植、多次元地震動挙動を考慮した免震の合理的設計法の検討を行い、研究を完結させる。合理的設計法の判断の根拠として、ロバスト性の評価を新たに導入する。2011年東日本大震災以降、想定外の地震入力に対する建物の挙動把握が求められるようになったことから、本研究においても想定以上の地震入力を考慮し、建物の健全性の評価には冗長性を反映させることとした。過大な多次元地震入力を想定して、免震建物の非線形性を考慮した多次元的挙動評価を行い、ロバスト性の観点から合理的設計法を構築する。
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