2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素固定に有効な解体材活用・建物制震システムの開発研究
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23360249
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 謙太郎 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (10274490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 博 京都大学, 防災研究所, 教授 (30311856)
小山 智幸 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (50215430)
吉田 雅穂 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90210723)
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Keywords | 地球環境負荷低減 / リユース / 建築解体材 / 地盤補強 / 制震 / カスケード利用 / コンクリート壁版 / 液状化対策 |
Research Abstract |
(A)木造建築の解体等で得た木材を地盤補強や制震壁にカスケード利用する方法の提案について 木造建築物の解体時に発生する角材を地盤補強材としてカスケード利用することを目的として、液状化対策技術への適用の可能性について模型振動実験により検討を行った。その結果、角材は既にその有効性が確認されている丸太と同等の効果(間隙水圧の早期消散、地盤支持力の向上)を有することが明らかとなった。また、地盤補強に使用可能な構造部材(断面105mm角、長さ4m)は一般的な住宅の使用材積のうち約60%が利用可能であることが分かった。 地盤補強に利用できない短材を制震壁の作製などにカスケード利用する方法を検討し、断面が80mm角で長さが240mmと80mmの2種類の木ブロックを内部に積み上げる制震壁を考案した。この制震壁の静的載荷実験を行った結果、同壁体は非常に高い変形能力を有することが確認された。 (B)リユース可能な壁体を用いた乾式工法による建物制震システムの提案について 実大の制震要素としての壁体と接合部に関する載荷実験として、主体構造を想定したフレームに2枚のプレキャストコンクリート壁版を接合し、両壁版間を摩擦接合したものを試験体とする動的水平載荷実験を行って、その復元力特性を確認した。実験の結果、壁版接合部の製作精度と両壁版の取付精度を十分確保することが高い制震効果を得るために重要であることが分かった。 何も補強していないスケルトン状態の鋼構造実大試験架構(京都大学防災研所有の実大架構実験装置)に常時地震観測ができる地震計を各階に設置し、その振動性状を確認した。その結果、これまで同定されていた固有周期よりも小さな弾性時固有周期を有していることがわかった。振動モードと各階の伝達関数に適合するようなフレーム剛性を設計上の質量を仮定することで推定し、弾性応答解析用の振動モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した内容のほか、建築解体材の断面、長さおよび使用時に受けていた応力などを考慮したカスケード利用法を整理できたことや、木材のカスケード利用がもたらす二酸化炭素の発生量抑制効果について検討するための二酸化炭素排出量原単位の資料を収集できたこと、次年度の実施を計画している振動実験の使用材料を選定できたことなどの成果が上がり、研究の目的の達成に向けておおむね順調に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
木造建築の解体等で得た木材を地盤補強にカスケード利用する方法の検討では、解体材の利用可能性拡大や地盤補強性能の向上のために、継ぎ杭などの方法で、より長い材として地中に挿入することが可能かどうかを中心に検討する。木造建築解体材を制震壁にカスケード利用する方法については、今年度考案した制震壁の初期剛性や施工性を向上させる方法を中心に検討する。リユース可能な壁体を用いた乾式工法による建物制震システムについては、今年度選定した材料(乾式組積用のコンクリートプロック)を用いた制震壁の載荷実験を先行して行う。振動実験は2層1スパンのフレームに提案する制震補強を施した試験体の振動台加振実験を行うとともに、鋼構造実大試験架構に提案する制震補強を施し、その際の施工性や補強した実大試験架構の初期剛性の変化を確認する。
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Research Products
(2 results)