2012 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境に配慮した鋼と木質材料の複合構造に関する研究
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23360251
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岩田 衛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50322532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 正則 山口大学, 理工学研究科, 教授 (30449368)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 環境負荷 / 複合構造 / 鋼 / 木質材料 / 実験 |
Research Abstract |
鋼と木質材料の複合構造の梁部材の曲げ実験を行い,鋼と木質材料の各種の接合法(接着接合・ボルト接合・接触接合・それらの組み合わせ)の相違による構造性能を検討した。得られた結果は下記のとおりである。 1)複合部材の最大耐力及び初期剛性は一体化の程度が高い(接着接合とボルト接合の組み合わせ)場合、鋼と木質材料を足し合わせることで概ね評価できる。2)鋼と木質材料の接触接合の複合部材の最大耐力は,鋼と木質材料を接着接合とボルト接合で組み合わせた複合部材よりやや低下するが、最大耐力以降の変形性能は概ね同じである。3)複合部材は、木質材料が鋼の横座屈を補剛するため、幅厚比の制限を緩和できる。上記の接合法のうち,加工および解体,分離が容易な鋼と木質材料の接触接合を取り上げ,部材の種類や木質材料の留め付けなどが構造性能に及ぼす影響を確認した。得られた結果は下記のとおりである。4)接触接合の複合部材は,引張領域の木質材料の破壊により最大耐力に達する。最大耐力以降,木質材料と鋼の応力再配分が生じるものの,変形性能を有する。この場合,鋼は木質材料より座屈補剛されている。5)木質材料どうしが接着されている複合部材の最大耐力および初期剛性は木質材料どうしがビス接合されている複合部材よりやや大きい。6)角形鋼管を使用した複合部材は十字H形鋼を使用した複合部材よりも,最大荷重において9%,初期剛性において6%程度高い。7)木質材料どうしをビス接合した複合部材は,木質材料どうしを接着接合した場合より最大耐力及び初期剛性が低下するが,最大耐力以降の変形性能は概ね同じである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鋼と木質材料の複合構造の接合法(接着接合・ボルト接合・接触接合・それらの組み合わせ)を分類し,各々の基本的な構造性能を明らかにすることができた。これにより構法の選定にあたっての性能評価に役立てることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果をもとに,鋼と木質材料の複合構造の構法に対する要求性能として,安全性・機能性・環境性・意匠性・加工性・施工性・経済性を総合評価することで,複合構造の構法の成立の可能性を追求する。このうち,安全性においては,実験より得られた構造性能(初期剛性,曲げ耐力など),環境性においては,リユース・リサイクルするために,鋼と木質材料が解体・分離しやすいこと,加工性・施工性においては,構成部品の加工の容易性,施工の容易性などを指標とする。
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