2012 Fiscal Year Annual Research Report
数値地形情報を用いた実在地域音響数値解析技術の研究開発
Project/Area Number |
23360255
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大嶋 拓也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40332647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 雅 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10312977)
星 和磨 日本大学短期大学部, 建築・生活デザイン学科, 助手 (50373171)
大久保 寛 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (90336446)
平栗 靖浩 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 助教 (90457416)
安田 洋介 神奈川大学, 工学部, 准教授 (90456187)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 音響数値解析 / 屋外音響解析 / 数値地形情報 / 実在地域 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実在地域の数値地形情報を用いた、音響数値解析への入力情報を生成する技術の開発実証である。本年度は、市街地形状の生成技術開発を行った昨年度に引続き、以下を実施した。 1. 地面吸音特性推定手法の開発: 高精度なリモートセンシングデータであるハイパースペクトル航空写真の各ピクセルを、ASJ RTN-Model 2008における地表面の実効的流れ抵抗値による類型に従い分類する手法を開発した。結果、類似の地面種別との誤判定は若干見られたものの、全体的には有用な地表面分類データが得られた。さらに、各分類に対応した流れ抵抗を、多孔質モデルによって考慮した数値解析手法を構築した。吸音を考慮しない場合との比較から、本手法の有用性が確認された。 2. 模型実験との比較: 数値解析手法実証のため、数値地形データから数値制御加工により作成した縮尺模型上での音響実験結果と、同一地形のもと行った数値解析結果の比較を、研究協力者の協力のもと行った。その結果、音響伝搬の実験的可視化および近距離においてはおおむね一致したもの、遠距離建物陰などの一致状況に課題を残した。 3. 音響伝搬に対する気象影響の実測検討: 本研究の対象である屋外における音響数値解析では、風などの気象影響の考慮が時に必要となる。そこで、気象影響を考慮したシミュレーションの実証に向けて、盛土道路からの交通騒音を対象として気象影響の実測を行った。その結果、ASJ RTN-Model 2008における風の影響モデルよりも若干大きな影響が見られた。 4. その他: 数値地図の精度の騒音推計結果への影響に関する検討を行い、補正の必要性は小さいとの基礎的検討結果を得た。本研究が対象とする大規模音場に高速多重極境界要素法を適用する場合の、最適な多重極展開項数に関する検討を行った。音響数値解析コードの並列化など性能向上は、随時行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画として挙げた、1. 建物形状の補正に関する検討、2. 地表面吸音境界条件の推定手法の検討、3. 音響実験用実市街地縮尺模型の作成および当該模型を用いた実験結果と数値解析結果の比較、4. 大規模解析のための諸検討を全て実施した。さらに、本課題の発展的テーマとして、本研究の対象とする屋外音響伝搬に特有の気象影響についても、同影響を考慮したシミュレーションに向けた基礎的な実測検討を実施することができたため。特に、模型実験結果と数値解析結果の比較は、本研究申請時の計画では来年度に実施する予定であったものを、本年度に繰り上げて実施することが出来た。ただし、個別の項目には若干の課題を残しており、それらが来年度における検討課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究によって、数値地形情報からの音響数値シミュレーションへの境界形状入力、およびリモートセンシング画像からの地面音響特性の入力が可能となった。しかしながら、数値シミュレーションと模型実験結果の比較検証や地面音響特性の推定手法には若干の課題を残しており、それらの解決、および成果公開が今後の推進事項となる。具体的には以下である。 1.模型実験とシミュレーションによる妥当性検証の継続: 平成24年度の実在市街地の音響縮尺模型実験および音響数値シミュレーション結果の比較では、低周波域、および高周波域における音源から近距離の点においては良好な一致が見られたものの、高周波域における音源から離れた建物陰において音圧レベルの相違が見られた。来年度は当該の相違の原因を追求し、妥当性検証の継続を図る。また、測定パターンを追加することで、さらなる多様なケースにおける検証を図る。 2.地面吸音境界条件推定手法の精度改善および一般化:平成24年度の提案手法においては、ハイパースペクトルカメラによる航空写真を用い、ASJモデルの地表面類型に対応した地表面の分類を試みた。本手法は好条件下においては良好な分類結果となったものの、一部の条件下においては分類精度に課題を残した。したがって、今年度は当該精度の改善を図る。また、季節によって変化する地表面状態や、季節・時間帯・天候によって変化する航空写真の撮影条件に対応可能な一般化を図る。 3. 成果公開および本課題成果の展開:本研究課題最終年度のまとめとして、研究成果の国内外の論文誌への掲載および学会発表を一層推進する。必要に応じてプログラムコード等、成果物の公開を図る。
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Research Products
(19 results)