2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域生活記憶集積メカニズムの解明とアーカイブ施設の社会実験及びその運営手法の構築
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23360263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大月 敏雄 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80282953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 聡子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20307987)
森 正美 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (00298746)
鈴木 雅之 千葉大学, 運営基盤機構キャンパス整備企画部門, 准教授 (90334169)
西川 祐子 京都文教大学, 地域協働研究教育センター, 客員研究員 (50183538)
岩本 通弥 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60192506)
服部 岑生 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (40009527)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 記憶 / 生活空間 / 社会実験 / 団地 / ハウジング / 中間集団 / 建築計画 / まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外における生活記憶の集積のための諸活動がどのように行われつつあるのかを調べるための調査を、研究分担者が手分けして行った。国内においては特に、昨今産業遺産として注目されつつある、日本の産炭施設の遺構をめぐる記憶保存の諸活動に関する調査を行い、なかんずく、生活の場であった炭鉱住宅街における生活記憶の集積状況について全国的な把握を行った。 さらに、一連の本研究の中間的とりまとめとして、日本民俗学会との協力のもと「2014国際シンポジウム「“当たり前”を問う!―日中韓・高層集合住宅の暮らし方とその生活世界―」(2014年10月4日(土)、於:成城大学)」を実施し、「当たり前」の把握の仕方、既述の仕方、記憶の仕方について、多方面からの考察を深めることができた。 一方で、赤羽台団地における生活空間の記憶装置に関わる社会実験の継続として、学生主体の団体である赤羽台プラスの活動を中心にして、団地内の共用空間を利用した、アドホックな形での居住者共同の記憶づくりに関するワークショップを実施し、固定的なアーカイビング施設ではない形での記憶集積に関わる実験的研究を行うことができた。さらに、これら一連の社会実験的な取り組みの発展形として、千葉市の海浜部における団地の生活記憶集積装置の試験的運用を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外のアーカイブ施設に関する研究はおおむね予定通り順調に進んでいる。特に平成26年度においては、日本における炭鉱産業に関する関連施設の記憶化が日本各地で進みつつある現状をかんがみ、炭鉱施設に関わる調査を重点的に行い、全国的な人的ネットワークを形成できた。 赤羽台団地における、社会実験は、実空間における記憶集積装置から、テンポラリーな空間における記憶集積装置、そして平成26年度からはネット空間や、アドホックな人間関係の場づくりにおける記憶集積装置としての、さまざまなアーカイビングタイプにおける実験的研究を行うことができ、これをさらに、千葉の海浜の団地で展開することができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のアーカイブ施設の調査結果をまとめ、記憶集積メカニズムのモデルを、研究分担者一同で構築することを当面の目標とし、また、これまで赤羽台団地で行ってきた一連のアーカイブ施設の実験的運用の成果をまとめ、それらの知見の中から、新たなアーカイブ施設の計画可能性を模索したい。 また、国内外アーカイブ施設調査を通して築くことのできたネットワークを生かして、集住環境における生活記憶をどのように継承すべきかについての、国際シンポジウムを開催し、その記録を公表する方針である。
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