2011 Fiscal Year Annual Research Report
経路の分岐点における選択傾向の状況による差異とそれをもたらす環境情報
Project/Area Number |
23360265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Town planning/Architectural planning
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大野 隆造 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20160591)
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Keywords | 経路の分岐点 / 選択行動 / 環境情報 / シミュレーション実験 / 緊急時 / 動画 / 連続静止画 / 避難経路 |
Research Abstract |
本研究は、経路の分岐点における選択行動が人の置かれた状況によって異なる、すなわち緊急時と平常時で、また平常時でも目的の有無によって異なると考え、それぞれの状況において経路選択に利用される環境情報を明らかにすることを目的としている。 本年度は、さまざまな状況を想定したシミュレーション実験を行うための、選択行動に関わる状況変数と実験条件を定めるための予備実験を行った。すなわち、シミュレーション映像の提示方法として、連続的な動画と、連続(断続)する静止画とを比較検討し、通路空間の空間的変化の印象、およびその空間に点在する要素の検出において差がほとんどないことを確認した。これにより今後の実験において、画像操作がより容易であり、視覚情報の記述が容易な連続静止画を用いる妥当性が示された。さらに、アイカメラを用いて視線方向の分布について検討し、提示対象および提示方法によって視野内での分布傾向が異なることがわかったが、視点が空間内を移動する際の、注視された対象物との対応関係をいかに取るかという課題が残された。 一方、実際の市街地(商業地)における特定の業種の店舗を目指して回遊する行動実験を通して、街路の分岐点におけるどのような情報が影響するかを求め、商業地において期待される回遊客の分布を予測する方法を提示した。これにより、人を誘導するためには、提供する情報の連担が必要であることが判明した。 東日本大震災を受けて、当初は予定していなかった緊急避難時の経路選択の課題を繰り上げて実施することとし、予備的に津波警報が出された地域の避難経路についての予備調査を行った。その結果、津波警報を聞いた多くの住民が必ずしも適切でない行動をとったことがわかり、適切な誘導のための情報提供が必要であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、東日本大震災を受けて、緊急避難時の経路選択の課題を本年度の研究に加えることにし、予備的に津波警報が出された地域の避難経路の調査を行ったため室実験及び市街地における実験の開始が遅れたが、予定した内容は一通り行うことができ、進行状況はおおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーション装置を用いた実験を引き続き行う。実験に提示するY字型街路の分岐点における映像を作成し、経路選択実験をおこなう。提示映像は、前年度に検討した「動画」「連続静止画」および環境要因を考慮して、さまざまなY字型街路の実写映像を収集する。 実験は、アイカメラを装着した被験者が映像を自ら操作して分岐点に接近し、進行方向を決定した時点で停止する。その後、経路選択の理由と決定因となった環境要素があればそれについて回答してもらう。一方で、以下で詳しく述べる提示画像の分析(最終提示画像で遮蔽縁から出現した要素、環境視情報の変化プロフィールおよび、アイカメラから得られるデータを分析し、実験方法、提示刺激の妥当性について検討する。今年度において最も重要なところは、移動中の視線方向の分布をいかにとらえるかにある。 以上の実験室での実験と並行して、緊急時の経路選択行動について、「津波警報」等が発令された際の選択傾向について、実際の街路の調査を行い、実験に用いる提示映像を収集する。
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Research Products
(7 results)